持続可能性 地球でも月面でも

ソラタン。なんだか、かわいらしい響きです。愛知県の若き兄弟が立ち上げたTOWING(トーイング)社が開発した「宙炭」(そらたん)は、もみ殻などを加熱して作ったバイオ炭に微生物を加え、有機質肥料を混ぜて作った人工土壌を活用した高機能バイオ炭です。

TOWING:ソリューション

これを土壌に混ぜると、通常は3年から5年はかかる土壌改良が、たったの1ヶ月でできてしまうそうです。その上、収穫量は2割ほど増加できるというのですから、すごい話です。

TOWING社の掲げる目標には「食と環境の課題解決をする」や「農業由来の温室効果ガス排出を実質0にする」などがあります。バイオ炭の原料には植物残渣、家畜のフン、下水汚泥などを使うため、CO2排出量の削減や、炭素固定にも効果があります。

これだけでも素晴らしい技術ですが、この「宙炭」を、月面や宇宙空間でも野菜の栽培ができるような土壌にするべく研究を進めています。

日本も参加する国際月面探査計画「アルテミス」では、人間が月面で長期間活動できる基盤をつくることも目標になっていますが、それにはさまざまな物資を地球から運ばなければなりません。月面まで物資を運ぶのには1kgあたり数百万円以上の費用がかかるそうです。「小包を送るにはどの業者を使ったら安上がりかなぁ」なんてネットでちまちま検索している人間からすると、もう途方もなく巨額な経費。

もしも宇宙で野菜などの作物が栽培できて「宇宙農業」が実現したら、持続的な宇宙開発に大きく貢献することは間違いないですよね。「宙炭」という名前にも込められた夢が実現する日が楽しみです。

さて、食と環境の未来について語るシンポジウムが開催されますので、ご案内します。

名称: シンポジウム「気候変動×生物多様性による豊かな地域づくり
    ~食と環境の未来を中心に~」の開催について

日時: 2024年2月29日(木)14:00~17:00 
会場: オンライン 
主催: 環境省
参加費: 無料 

主な内容: 下記HPより抜粋 

○主催者・共催者挨拶

○講演「世界と日本における持続可能な食と環境の最新動向」
 ・内田東吾氏(一般社団法人イクレイ日本 事務局長)
 ・竹本明生氏(国連大学サステナビリティ高等研究所 プログラム・ヘッド)
 ・農林水産省及び環境省から国内動向事例を紹介

○事例紹介 「わが国における食と環境の未来を考える」
 事例紹介1 株式会社脱炭素化支援機構
       株式会社坂ノ途中
 事例紹介2 コープデリ生活協同組合連合会
 事例紹介3 公益財団法人八木町農業公社

○パネルディスカッション「食と環境の課題解決を通して実現する豊かな地域とは」
 モデレーター 藤田香氏(東北大学グリーン未来創造機構/大学院生命科学研究科教授兼、
        日経ESGシニアエディター)
 パネリスト 事例紹介登壇者

○総括
 武内和彦氏(公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES) 理事長、
 東京大学未来ビジョン研究センター 特任教授、国連大学サステイナビリティ高等研究所 客員教授)

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