30年くらい前のことですが、ケニアのナイロビにあるナイロビ国立公園の南側境界線の外側で、遠くにいるヌーの群れを双眼鏡で見ていました。しばらくすると小学生くらいの子供たちが数人、視界に入ってきました。朝のことだったので、学校に向かう途中だったのでしょう。まもなく彼らは、木の枝を拾って振り回しながら、数百頭はいそうなヌーの群れに向かって走って突っ込んでいきました。驚いたヌーが散り散りに逃げていくのが面白かったんだと思います。白い歯を見せてニコニコしていました。その様子を見ながら、(大人の感覚では)ちょっとヌーには悪いなと思いつつも「いやぁ俺もここに生まれ育ってたら絶対コレやってただろうな~。学校に行きながらヌーを追い回すなんて、面白いもんな」と思いましたね。
ナイロビ国立公園の面積は117平方km。「キリンの背景にナイロビ市街の高層ビルが見える」ようなところです。この公園の南側にはフェンスはなく、シマウマやヌーなどの草食動物たちはその南側に広がる広大なサバンナと公園内とを、季節に応じて良質の草を求めて移動します。その生態系(Athi-Kapiti Ecosystem)全体の広さは公園の20倍ほどあり、1970年代にはヌーは30,000頭くらい生息していましたが、2011年には4,000頭以下に激減しました。農地、牧場、民家、道路の増加によって生息域が分断され、次第に住みにくくなったそうです。
いまでもその傾向は続いているようです。あの時にヌーを追い回して遊んでいた子供たちも、今頃はいい大人になっていると思いますが、いまでもヌーの行列が見られるのか、あるいはもうあんな光景は彼らの思い出の中にしかないのか。時々思い出すことがあります。
これとは「逆の話」を最近見かけました。東京農工大学の研究で、人間の活動がなくなったことで野生動物の分布が拡大した、という話です。
人間活動の撤退は野生動物の繁栄を促進する -耕作放棄地の増加と温暖化が分布域を拡大-
(東京農工大学、2025年4月18日)
日本の大型哺乳類6種(イノシシ、ツキノワグマ、ニホンカモシカ、ニホンザル、ニホンジカ、ヒグマ)が過去40年で分布域を拡大していて、その要因として耕作放棄地の増加と降雪量の減少がある、ということが分かったのです。「お~、動物たちにとってはいい話ではないか~」と最初は思ったのですが、ところがどっこい、分布域が拡大したことで、人の住む地域に近いところで行動することも増えているため、人間との軋轢は増えているとのこと。なかなかうまくは行きませんね…。
さて、東京都産業労働局の主催で脱炭素セミナーが開催されるのでご案内します。
名称: 企業向け脱炭素セミナー「脱炭素化の努力を社会全体で共有するために ~今から取り組める脱炭素アクション解説~」
日時: 2025年5月21日(水)15:00~16:30
会場: PASONA SQUARE(港区)/オンライン
主催: 東京都産業労働局
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
第1部 講演
1)脱炭素化が求められる背景と世界の動向
2)排出量の「可視化」が導く気づきと行動
3)中小企業に求められる役割とは
4)中小企業が取り組める削減アクション
5)質疑応答
第2部 東京都のHTTの取組・支援策のご案内
1)東京都のHTTの取組について
2)HTT支援策のご案内
詳しくはこちらをご覧ください。