最近、「土 地球最後のナゾ」(2018年 藤井一至 著)を少し読みました。土なんてそんなに注目していなかったので、どんなことが書いてあるのかな、と興味に駆られて手に取ってみたらなかなかの衝撃でした。やはり視点を変えると異なる世界が見えてくるものですね。
肥沃な畑の密度には非常に偏りがあり、世界の人口分布を大きく左右している。降水量の多寡、大河の存在といった「水」の利用可能性の違いもさることながら、やはり土壌の違いがその土地の食糧生産能力に明らかに格差をもたらしていることが分かるそうです。
こうして見ると「人類は生まれながらにして”不平等”だ」という認識を持ったほうが現実に近いような気がしてきますね。だからこそ国際的な協力が必要になる、とも思えてきます。
さて、日本学術会議の主催で「土壌」に関するシンポジウムが開催されるのでご案内します。この本の著者、藤井一至氏も登壇します。
名称: 公開シンポジウム「Soil Healthとは? 土壌の健康の理解・維持向上・共有」
日時: 2025年7月26日(土)10:00~17:00
会場: 日本学術会議講堂(港区)/オンライン
主催: 日本学術会議農学委員会土壌科学分科会・Soil Health小委員会、農学委員会・食料科学委員会合同IUSS分科会
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
司会:川東 正幸(東京都立大学大学院都市環境科学研究科 教授)
【挨拶・趣旨説明】
開会挨拶:犬伏 和之(東京農業大学応用生物科学部 教授・千葉大学 名誉教授)
主催者挨拶:信濃 卓郎(北海道大学大学院農学研究院 教授)
趣旨説明:波多野 隆介(北海道大学 名誉教授)
【第1部 土壌の健康とは?】
「今なぜ土壌の健康なのか? 期待と課題」
藤井 一至(福島国際研究教育機構 土壌ホメオスタシス研究ユニット長)
「土壌健康の向上と気候変動緩和が連携する持続可能な土壌管理
―大学農場における長期畑輪作栽培が示す知見―」
小松﨑 将一(茨城大学農学部附属国際フィールド農学センター 教授)
「水田微生物がもたらす土壌の健康」
犬伏 和之(東京農業大学 教授・千葉大学 名誉教授)
「生態学からソイルヘルスへの期待」
北島 薫(京都大学大学院農学研究科 教授)
<討論>
座長 山口 紀子(農研機構農業環境研究部門 グループ長)
【第2部 土壌の健康を向上させるイノベーション】
「不耕起草生栽培の科学」
金子 信博(島根大学 客員教授・横浜国立大学 名誉教授・福島大学 名誉教授)
「土壌の健康を支える土壌の構造」
中塚 博子(東京農業大学農学部 准教授)
「日本や東南アジアの水田土壌の肥沃度変化と土壌の健康」
矢内 純太(京都府立大学大学院生命環境科学研究科 教授)
「バナナプランテーションにおける土壌病害」
渡辺 京子(玉川大学農学部 教授)
「農業土壌微生物アトラスの構築と生物因子から見た農業土壌健康度」
竹山 春子(早稲田大学理工学術院 教授)
<討論>
座長 信濃 卓郎(北海道大学大学院農学研究院 教授)
【第3部 土壌の健康を共有するために】
「米国における Soil Health の取り組み」
水田 勝利(ケンタッキー大学土壌植物学科 准教授)
「EUにおけるSoil Healthの取り組み」
Bellingrath 木村 園子 Dorothea(ZALF土地利用およびガバナンス領域長・フンボルト大学ベルリン生命科学学部農学園芸科 教授)
「小学校教育における「土」の認識」
森 圭子(埼玉県立川の博物館学芸 グループリーダー)
「Soil Healthに向けた社会的合意のための土壌倫理」
太田 和彦(南山大学総合政策学部 准教授・総合地球環境学研究所客員 准教授)
<討論>
座長 若林 正吉(農研機構農業環境研究部門 主任研究員)
【閉会挨拶】
小﨑 隆(京都大学 名誉教授・愛知大学国際問題研究所 名誉教授)
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