山火事は小さいうちに消すべし

今やったら叱られてしまいますが、子供の頃は、よくドラム缶にゴミを放り込んでバンバン燃やしていました。ある時、火の粉が飛んで行ったようで近くに生えていたマツの木に燃え移ってしまいました。昼間だったので炎がよく見えず、あれっ?と思ったのですが、あれよあれよという間に火が大きくなっていき、木が丸ごと炎に包まれていきそうになりました。急に怖くなって、血の気が引くのを感じましたね。大慌てで水をかけて、なんとか消すことができたのですが、あれは怖かったです。以来、山火事のニュースを見るたびにこの時のことを思い出します。

つい最近でも島根県で山火事が起きていますし、アメリカ、カナダ、フランスでも起きています。山火事は消火が困難で、鎮火するまでに数ヶ月かかることすらありますから、実に恐ろしいです。

そんな中、解像度の高い山火事監視衛星(FireSat Progoflight)が登場しました。アメリカのスタートアップMuon Space社とGoogle Research、非営利団体Earth Fire Allianceの共同プロジェクトで、5m四方という解像度で小規模な火災でも検知できる衛星を使い、世界中の山々を監視します。煙や雲に遮られることなく火災の境界、進行度、強度など重要な情報を得ることができます。2030年までに50機以上の衛星を連携して運用する計画です。

Earth Fire Alliance Releases First Wildfire Images from FireSat Protoflight
(Earth Fire Alliance がFireSat Protoflightによる山火事の初画像を公開、 2025年7月23日)

火がまだ小さい初期段階で対応できれば大規模な火災を減らすことができます。Earth Fire Allianceによると、米国だけでも、火災による経済的損失を年間10億ドル以上抑えて、3,500戸の住宅や建物を保護し、焼失面積を130万エーカー削減し、2,190万トンの二酸化炭素排出を抑制できる、とのこと。

これからの進展に期待したいですね。

さて、文部科学省の主催で森林火災に関するシンポジウムが開催されるのでご案内します。

名称: 気候変動予測先端研究プログラム公開シンポジウム
    「なぜ森は燃えるのか?-気候変動と林野火災のリアル-」

日時: 2025年8月20日(水)13:00~15:50 
会場: オンライン 
主催: 文部科学省 気候変動予測先端研究プログラム
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

【講演1】
「2025年、大船渡を襲った林野火災 ―水文学の視点から読み解く―」
峠 嘉哉 京都大学防災研究所 特定准教授

【講演2】
「猛暑、大雨、林野火災も?―異常天候をもたらす偏西風の蛇行と温暖化―」
関澤 偲温 気象庁気象研究所気候・環境研究部第一研究室 研究官

【講演3】
「衛星観測で分かる世界の林野火災」
棚田 和玖 宇宙航空研究開発機構(JAXA)第一宇宙技術部門 地球観測研究センター 研究開発員

【トークセッション】
ファシリテーター:三浦 菜摘 科学コミュニケーター、アナウンサー

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