蘇るスライムの記憶

先日、使わなくなって久しい古いスマホを横から見たときに、ちょっと膨らんでいたのに気がつきました。リチウムイオン電池が急に発火し出す映像を見たことがあるので、これは怖いぞぉと思い、早々に処分しました。リチウムイオン電池のおかげでさまざまな電気製品が小型化しましたから、とてもありがたい存在なんですが、ちょっと危ない側面もあるんですよね。

そんな中、燃える危険がなくて、リサイクルが非常に簡単なリチウムイオン電池ができつつあります。材料を薄く塗って乾かすだけで電池になり、それを水に溶かせば材料をリサイクルできるという、「え、どうやって?」と驚いてしまう話です。

東京科学大学の白鳥特任教授と安井准教授らの研究チームが開発しました。

世界初、大気下でつくる新しいリチウムイオン電池電解質(2025年8月5日、東京科学大学)

・可燃性の溶媒を含まない電解質なので燃えにくい。
・少ないエネルギーで生産できる。
・水に戻すと「ダイレクトリサイクル」
 (金属元素に戻すことなく、構造体をそのまま回収)できる。

こうした素晴らしいメリットが挙げられています。そんな中、一つの文に目を奪われました。「私たちはスライムの科学に着目して水の分解を抑制し、新しい準固体電解質を開発しました」とあります。「スライムって、あのスライムか!?」と驚きました。子供の頃に”スライム”というおもちゃが発売されて、テレビCMも流されて大いに流行ったと記憶しています。私も買ってもらって、あの不気味なほどよく伸びてネバネバなのに手にくっつかない不思議な感触を体験しました。

難しい言葉が並んでいる論文ですが、おもちゃとして脳にインプットされている”スライム”がこんな新発明の役に立っているのかと思うと、興味がさらに高まります。世界初の技術ですし、脱炭素や環境保全、経済安全保障にも大きく貢献してくれそうです。今後の実用化に向けた研究に期待したいですね。

さて、京都で「KYOTO地球環境の殿堂」国際会議・未来会議が開催されるのでご案内します。

名称: 「KYOTO地球環境の殿堂」国際会議・未来会議
日時: 2025年9月20日(土)13:00~17:30 
会場: 国立京都国際会館/オンライン 
主催: 「KYOTO地球環境の殿堂」運営協議会、京都環境文化学術フォーラム
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

○ オープニングアトラクション
伝統文化・芸能パフォーマンス

○ 真鍋 淑郎氏による未来に向けたビデオメッセージ

○ 基調講演
「環境日本学について」 山極 壽一 氏

○ 伊沢 拓司 氏と山極 壽一 氏による特別対談

○ 未来会議の活動発表と学生のメッセージ

○ 未来への提言 MIRAIKAIGI

○ パネルディスカッション「気候変動」
甲斐沼 美紀子 氏、江守 正多 氏、竹本 和彦 氏
ファシリテーター:宇佐美 誠 氏

○ パネルディスカッション「生物・文化多様性」
エゴ・レモス 氏、中村 桂子 氏、伊沢 拓司 氏、山極 壽一 氏
ファシリテーター:吉川 成美 氏

○ エゴ・レモス 氏 特別演奏(プログラムは変更になる可能性があります)

詳しくはこちらをご覧ください。