ハエ男の恐怖を思い出した

小学生の頃、「SF映画大百科」みたいなタイトルの小さな本を読んでいた時に、「ハエ男の恐怖」(1958年)という作品の紹介を読んでゾッとして鳥肌がたった記憶があります。瞬間的に物質を電送できる装置を作った科学者が、自分自身を電送する実験をしたところ、装置にハエが紛れ込んだせいでハエと合体してしまい、頭と片腕がハエになってしまう….。そんな話でした。あらすじを読んだだけで怖すぎるので、今まで実際にこの映画を見たことはありません。

そんな記憶があるものですから、このニュースを読んだ時にはグサリと脳に突き刺さりました。

名古屋大学:プロポーズの流儀を決める遺伝子と脳のスイッチを解明 
~ハエの神経回路の”つなぎ替え”で求愛行動の種間移植に成功~(2025年8月18日)


瞬間物質電送の話ではなく、ハエの神経回路を繋ぎ変えて、従来しないはずの行動を行わせることに成功したという話です。

ヒメウスグロショウジョウバエがプロポーズをするとき、メスにキスして口移しで果汁をプレゼントするという行動があります。え、ハエがこんなロマンチックなことをしてるのか…、とそこに驚いている場合ではありません。

このハエの「脳の神経ネットワークを模倣した回路」を遺伝子操作で同属別種のキイロショウジョウバエのオスに持たせたところ、本来しないはずのこの口移し行動をするようになったのです。つまり、たった1個の遺伝子を操作して神経のつながりを変更して行動を”種間移植”することに成功したわけです。

これは実社会への応用という点で、「有害動物の行動を制御することで、共存共栄を実現する技術の開発などが想定できる」とされています。確かに、野生動物の出没や外来昆虫の拡散など、人間と動物の軋轢は問題になっていますので、こうした技術が発展していくことが解決につながるのかもしれません。殺処分をしたり殺虫剤を撒き散らしたりするよりは環境にやさしいのかもしれません。ただ「ハエ男の恐怖」の恐怖が記憶に刻まれている人間としては、どうしても心穏やかでいられない部分があるんですよね…。

さて、環境省の主催でプラスチック汚染に関するシンポジウムが開催されるのでご案内します。

名称: 令和7年度プラスチック汚染とその対策に関するシンポジウム
日時: 2025年10月14日(火)13:00~17:40 
会場: TKPガーデンシティPREMIUM品川HEART/オンライン 
主催: 環境省
参加費: 無料

主な内容:下記HPより抜粋

【1 発表セッション】
1-1 マイクロプラスチックを取り巻く問題-背景と環境省の取組-
中山 直樹(環境省 海洋環境課 海洋プラスチック汚染対策室長)

1-2 マイクロプラスチックはどこから出ているの?-発生源からの環境流出とその対策-
勝見 尚也(石川県公立大学法人石川県立大学 生物資源環境学部 准教授)

1-3 マイクロプラスチックはどこへいくの?-環境中での存在状況・動態とその解釈-
鈴木 剛(国立研究開発法人国立環境研究所 資源循環領域 資源循環基盤技術研究室長)

1-4 マイクロプラスチックはどんな影響があるの?-環境への影響とその評価-
内藤 航(国立研究開発法人産業技術総合研究所 研究戦略本部 ネイチャーポジティブ技術実装研究センター生態影響・対策 技術評価研究チーム長)

1-5 マイクロプラスチックの汚染を減らすには-対策の検討と対応-
・五十嵐 圭日子(東京大学大学院 農学生命科学研究科 教授)
・小太刀 賢輔・宮沢 桜太朗(伊藤忠ファッションシステム株式会社 第2ディビジョン)
・長谷川 浩(住友ゴム工業株式会社 ハイブリッド事業本部 生活インフラビジネスチーム)

【2 トークセッション】
「プラスチック汚染問題の解決に向けて-マイクロプラスチック対策の今後の課題と展望」
発表セッション登壇者に参加いただきます。

詳しくはこちらをご覧ください。