声明:自治体は気候非常事態宣言を発し、脱炭素や気候変動適応に積極的に取り組むべきである

 日本列島は近年、記録的な猛暑や豪雨に見舞われている。2025年7月24日には北海道北見市で39℃を、8月5日には群馬県伊勢崎市で41.8℃を観測した。同日の桐生市、前橋市、上里見町、館林市でも40℃以上を観測した。さらに、8月8日の鹿児島県霧島市、10日から11日にかけての熊本県玉名市、長洲町、八代市、宇城市、氷川町、上天草市、天草市では線状降水帯の発生により大雨特別警報が発令され、1時間雨量は100mmを超えた。異常気象の原因を科学的に検討する極端気象アトリビューションセンター(WAC: Weather Attribution Center)によれば、7月の記録的猛暑は人為的起源の温室効果ガス排出による地球温暖化のせいであるという。

 このような“気候非常事態”に直面し、世界の自治体、国は続々と気候非常事態宣言を発し、脱炭素と気候変動適応への取り組みを進めている。日本では2019年9月25日に長崎県壱岐市が初めて宣言して以来、137の自治体、国が宣言した(2024年4月8日現在・イーズ未来共創フォーラム調べ)。また、CEDAMIAによれば世界では40か国・2,366の自治体、国が宣言している( 2025年8月20日現在)。
 環境省は「脱炭素先行地域」を選定し、資金援助を行い、カーボンニュートラルを推進を図っている。 2025年5月9日時点で、全国40道府県115市町村による88件の提案が採択されている。この提案は単独の自治体からのものと、複数の自治体からのものと両方ある。気候非常事態宣言をして、脱炭素先行地域に選定(共同選定を含む)された自治体としては、札幌市、宮古市、東松島市、さいたま市、千葉市、松本市、上田市、小諸市、米原市、京都市、堺市、大阪市、尼崎市、鳥取市、北九州市、五島市、知名町、和泊町、などがある。しかし、137自治体が宣言しているにもかかわらず、脱炭素先行地域に選定されたのは23の自治体にとどまっている。また、各自治体には気候変動適応計画の策定が義務付けられ、地域気候変動適応センターも設置されている。

 2024年の世界平均気温は産業革命前に比べて1.55℃高く、初めてパリ協定の1.5℃目標を超えた。科学者たちは「2024年の気候報告書:地球にとって危険な時代」(BioScience、2024年)において、「6つのIPCC報告書、28回のCOP会議、数百の報告書、数万本の科学論文にもかかわらず、世界は気候変動への対応でわずかな前進しか遂げていない」と警鐘を鳴らしている。さらに、2025年7月に英国エクセター大学で開催された「グローバル転換点国際会議」では、参加者が「地球温暖化は数年以内に1.5℃を超えると予測され、人類は複数の気候転換点が数十億人に壊滅的リスクをもたらす危険地帯に陥っている」と警告し、1.5℃のオーバーシュートを防ぐための断固たる政策と市民社会の行動を求めた。
 日本の1,741自治体は、この「気候と環境の非常事態」に直面している。今こそ気候非常事態を宣言し、市民と協力して脱炭素と気候変動適応に取り組むことが求められる。