1891年からペルー国内で熱心に研究されていたエルニーニョについてはその後、1895年にロンドンで開催された第6回国際地理学会議で初めて世界に向けて発表されました。それまではペルーのローカルな話題だと思われていたエルニーニョが、実は地球全体の気候を左右する巨大なドラマの一部であることが、ここから少しずつ解明されていきました。
最近も、エルニーニョ現象とラニーニャ現象について東京大学と北海道大学が研究結果を公表しました。
2022~2023年に観測された地球エネルギー吸収の急増の要因を解明
~3年続いたラニーニャ現象からエルニーニョ現象への遷移がカギ~(2026年2月12日、東京大学)
2022年から2023年にかけて観測された地球全体の平均気温の急上昇と、それに伴う地球エネルギー吸収の急増のメカニズムを解明しました。2,000年以上のシミュレーションデータを分析して得られた重要なポイントは、「地球温暖化をもたらす人為起源の影響に加えて、3年間にわたって続いたラニーニャ現象が終息し、直後にエルニーニョ現象へと遷移したことが極端なエネルギー吸収を引き起こした」という点です。
この遷移に伴って地球全体の大気の流れや海温が変化し、さらに雲の性質や分布が変わることで太陽放射の反射率が変化したことが大きな要因となりました。同時期に観測された地球エネルギー吸収量の約75~77%をこれによって説明できるそうです。
3年続くラニーニャ現象は珍しく、今回の事象は非常に特異なケースであったと言えますが、今後ラニーニャ現象が頻度を増す可能性もあるため、今回の研究成果はこれからの気象現象の予測や分析にも重要な手がかりになります。
去年1月にも、エルニーニョ・南方振動(ENSO)が遠く離れたグリーンランドの氷河地震を引き起こしている可能性に関する論文が発表されました。
The potential role of El Nino-Southern Oscillation in triggering Greenland glacial earthquakes(エルニーニョ・南方振動がグリーンランド氷河地震を引き起こす潜在的な役割)(Acta Geophysica, 2025年1月30日)
エルニーニョ・南方振動が冬季のグリーンランドの気温上昇に関与し、氷河に急な亀裂や崩壊を引き起こし、それから生じる氷河地震の引き金になっていることを示唆しています。やはりスケールの大きな現象なんですね。
エルニーニョ現象が科学界で注目されるようになって130年以上になりますが、研究はまだまだ尽きないようですね。
さて、「中部山岳国立公園における生物多様性保全に向けた気候変動等への適応に関するコンソーシアム」の主催で、気候変動と北アルプスの生態系に関するイベントが開催されるのでご案内します。
名称: 「令和7年度 北アルプスコンソーシアム」発表会
日時: 2026年2月27日(金)12:30~18:00
会場: 信州大学/オンライン
主催: 中部山岳国立公園における生物多様性保全に向けた気候変動等への適応に関するコンソーシアム
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
北アルプスコンソーシアムでは、毎年、研究者から最新の調査・研究の報告と共有を行う研究発表会を開催しています。今年度の4回目となる発表会では、第2部として一般の方にも多く傍聴いただきたく、シンポジウム「みんなで知ろう!気候変動と北アルプスの今 生き物たちの未来のために、私たちにできることとは?」を行います。
【第一部 研究発表】
・新潟大学理学部フィールド科学人間育成プログラム 奈良間 千之
・京都大学大学院理学研究科 小林 智
・富山大学学術研究部都市デザイン学系 石崎 泰男 ※「崎」は正しくは「たつさき」
・東京農業大学地域環境学部 今井 伸夫
【第二部 シンポジウム】
「みんなで知ろう!気候変動と北アルプスの今 生き物たちの未来のために、私たちにできることとは?」
・信州大学山岳科学研究所/国立環境研究所 小熊 宏之
・信州大学山岳科学研究所 松本 卓也
・国立科学博物館 筑波実験植物園 村井 良徳
・環境省中部山岳国立公園管理事務所 野川 裕史
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