アジアから欧州へ向かう海上輸送路として、スエズ運河ではなく北極海を経由する「北極海ルート」(NSR, North Sea Route)を使う船が増えています。所要日数が短くて済むこと、温暖化で海氷が減少していること、最近ではイランが支援する武装組織フーシ派によって紅海・スエズ運河を通過する航行の安全がおびやかされていることもあり、この動きは急増しています。
北極圏の海運ニュースを扱っているInland Oceanによると、北極海ルートを通過する貨物量は、2015年には540万トン(トランジット航海18回)でしたが、2025年には推定4,000~4,300万トン(トランジット航海100回超)にまで増加しています。
「地政学リスクもあるし、航路の選択肢が増えるのはいいことだ」と思ったりもするのですが、なかなか難しい問題があります。環境に関連して懸念されていることが三つほどあります。
○ すすによる融解の促進
ディーゼルエンジンなどの燃料燃焼時に排出されるすすが氷の上に落ちて黒く汚れると、太陽光を効率よく吸収してしまい、氷の融解が進むことになります。
○ 船による物理的破壊と水温上昇
大型船や砕氷船が氷を割りながら航行すると、大きくて厚い氷の塊が細かくなり、表面積が増えて解けやすくなります。また、氷が割れて暗い色の海面が露出すると、海面が直接太陽光を吸収して水温が上がり、氷がさらに解けやすくなります。
○ 水中騒音や生態系への影響・油汚染リスク
船のスクリュー音による海生哺乳類への悪影響も考えられますし、事故などにより油の流出が起こっても、極地という過酷な環境下では油の回収は非常に困難です。
現状では中国・ロシアが積極的に利用していますが、日本や韓国も注目しています。
・韓国、北極航路時代に突入(Korea.net, 2025年12月5日)
・日本の北極政策 航路と資源の確保を戦略的に(読売新聞、2026年7月27日)
一方で、欧州の大手海運業者の中には環境への配慮から北極での寄港や航行を回避すると明言しているところもあります。
今後どう展開していくのか、注目していきたいところです。
さて、横浜市の主催で循環型都市に関するフォーラムが開催されるのでご案内します。
名称: アジア太平洋循環型都市フォーラム2026(Asia-Pacific Circular Cities Forum 2026)セッション
日時: 2026年9月3日(木)、4日(金)
会場: パシフィコ横浜ノース(横浜市)/オンライン
主催: 横浜市
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
「アジア太平洋循環型都市フォーラム(Asia-Pacific Circular Cities Forum, APCC-Forum)」は、2012年からこれまで14回に渡り開催してきたアジア・スマートシティ会議(ASCC)の実績を基盤に、都市リーダーや実務者をはじめ、政府機関・国際機関・専門機関・民間企業の代表者・専門家など、マルチ・ステークホルダーによる知見共有と共創のプラットフォームです。
初開催となる「APCC-Forum 2026」では、サーキュラーエコノミーの第一線で活躍する国内外のリーダーやイノベーターが横浜に集結し、環境と経済が両立する循環型の都市の未来への道筋を議論します。
また、アジア地域の循環型の都市づくりを推進する新たな国際枠組み「アジア循環型都市宣言制度」(Asian Circular Cities Declaration, ACCD)に参画するアジアの都市リーダーが集まり、都市の声を世界に発信し、循環型都市のムーブメントを広げていきます。
3日と4日に、多数のセッションが予定されています。詳しくはこちらをご覧ください。
