トルコでは7,000年ほど前からワイン作りが行われていたそうです。トルコのワインを見かけたことがなかったので、これは意外でした。
アナトリア半島西岸にあるフォチャは、紀元前600年頃には古代ギリシャの領地で、現在のギリシャ・フォキダ県にルーツを持つポカイア人という人々が都市を建設しました。彼らは優れた航海術を持っており、地中海の各地に遠征しましたが、その過程でマッサリアという植民地を建設しました。現在のフランス・マルセイユです。マッサリアの西で地中海に流れ込む大河、ローヌ川を伝って内陸部との交易が盛んに行われました。この頃にポカイア人がブドウの木をこの地に持ち込んでワイン造りを始め、それがローヌ川を起点として広がっていきました。これがフランスのワインの原点だとされています。
この歴史の出発点であるローヌ川の重要な水源の一つ、ローヌ氷河の高さが、この6月と7月の間に4メートルも低くなったと報じられています。
How heatwaves are reshaping Switzerland’s glaciers (熱波がスイスの氷河をいかに再構築しているか)(euro news, 2026年8月8日 )
スイスで氷河のモニタリングを行っているGLAMOS(Glacier Monitoring Switzerland)によると、冬の降雪が少なかったことと今回の異常な暑さのせいで、2022年以来の記録的な氷河消失になることが懸念されています。氷河の表面だけでなく、氷の内部で溶け出した水の流れが巨大な空洞を作り出していて、それが氷河の消失を加速しています。
ところで、GLAMOSのサイトを見るとスイスでモニタリングされている氷河の位置や面積、量や長さの増減が分かります。一口に氷河と言っても、こんなに数があるとは。興味深いです。
GLAMOS:https://swiss-glaciers.glaciology.ethz.ch/en/
アルプスの氷河は今世紀末までに大部分が消失してしまうと言われていて、ローヌ氷河では、夏の氷河の消失を少しでも遅らせるために白いカバーをかけているところもあります。氷河がなくなってしまうと、どんな影響があるのか。
○ 夏季の深刻な水不足と川の枯渇
現在、ローヌ川の流量は、5月から10月にかけての積雪と氷河の融解水によって大きく支えられています。特に、夏季の最も暑く乾燥した時期(7月中旬から9月初旬)には、氷河の融解水が下流の流量を維持し、深刻な渇水を防ぐ不可欠な供給源として機能しています。
しかし、氷河がほぼ完全に消失すると、この重要な供給源が失われます。将来、2003年のような猛暑と深刻な水不足が発生した際、かつては氷河の融解水が流量を補っていましたが、将来的には夏から秋にかけてローヌ川が干上がる可能性さえ指摘されています。
○ 農業およびワイン造りへの打撃
下流の低地に住む人々は、これらの水資源に強く依存しています。特に、スイス・ヴァレー州のローヌ平原やフランス南部など、農業灌漑が行われている地域では、非常に暑く乾燥した夏季に水の需要が供給を上回る恐れがあります。ワインの生産にも大きな影響を与えます。
○ 水力発電と電力供給への影響
融解水が減少することでダムの貯水容量が低下し、水力発電の生産量が減少すると予想されています。一方で、冷房需要の増加により電力需要のピークが冬から夏へと移行していくため、需要を満たすことが困難になる可能性があります。これはアルプス地域だけでなく、欧州全体の電力網にも影響を及ぼすと考えられています。
○ 水資源をめぐる競合とガバナンス構築
水資源が希少になるにつれ、農業、観光、水力発電といった異なる分野の間で、水をめぐる競争が激化すると予想されます。したがって、資源を公平に分配するためのガバナンスの変革や新しい規制の導入が必要になるとされています。
地球温暖化により、フランスのワイン造りは大きな転換期を迎えています。ワイン文化の「出発点」となったローヌ川もまた、気候変動によってその姿を大きく変えようとしています。
さて、環境省の主催で環境影響評価に関するシンポジウムが開催されるのでご案内します。
名称: シンポジウム「地域と共生した太陽光発電の促進に向けた環境影響評価の在り方について」
日時: 2026年9月3日(木)14:00~16:30
会場: 東邦大学/オンライン
主催: 環境省
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
○ 開会挨拶
岡野 隆宏(環境省 大臣官房 環境影響評価課長)
○ 話題提供(タイトルは仮題)
「太陽光発電事業のスクリーニング基準の見直しについて」
遠藤 充(経済産業省 大臣官房 産業保全・安全グループ 電力安全課)
○ 「三重県の環境影響評価制度と太陽光発電事業について」
中村 大希(三重県環境生活部 環境共生局 地球温暖化対策課)
○ 「太陽光発電事業に関する最近の動向について」
増川 武昭(一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA))
パネルディスカッション
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