ドナウ川。ドイツに源流があり、本流がドイツやオーストリア、スロバキアなど10カ国を通過または接して黒海に流れ込みます。この、通過する国の数が世界一としてギネス世界記録に認定されています。支流が通る国を含めるとさらにその数は増えるという、ヨーロッパでは大変重要な川です。
いま、記録的な干ばつによってドナウ川の水位が下がり、さまざまなことが起こっています。
セルビア:第二次世界大戦時のドイツ海軍の200隻以上の沈没船が露出した。
ブルガリア:1700年前のローマ時代の橋の基礎が露出した。
こうした事象だけなら「へえ、ちょっと面白いね~」で済むのですが、深刻な事態も起こっています。船舶による物資輸送では、水位が低すぎて運航できなかったり、あるいは積載量を大幅に減らしてやっと運航できる状態です。ドナウ川の水を使う水力発電や原子力発電の発電量が落ちているため、企業の生産活動にも深刻な影響が出ています。
Romania shuts nuclear plant, Hungary dams dry Danube River(ルーマニアは原発を停止 ハンガリーは干上がっているドナウ川を堰き止める)(DW, 2026年8月13日)
そんな中、ルーマニアでは国内唯一の原発であるチェルナヴォダ原子力発電所を停止。ハンガリーのパクス原子力発電所では冷却水が不足し、水温も高すぎるため、最低限のレベルでしか稼働できていません。
しかし、電源構成や発電方法の違いによって、受ける影響も違っています。スロバキアの原発では「冷却塔システム」を採用しているため、干ばつの影響を受けにくくなっています。大量の河川水を取り込んで熱交換器に一度だけ通し、吸熱した水を放出する「貫流式冷却システム」では大量の水が必要なのに対し、冷却塔システムは閉鎖系で水を循環させて熱を放出させるので、はるかに少ない水で稼働できます。今のところ、スロバキアでは大規模な生産停止は起こっていません。
オーストリアでは電力の6割を水力発電で賄っていますが、流れ込み式水力発電だけでなく、貯水式や揚水式発電も効果的に利用していて、また電力の3割を水力以外の再生可能エネルギーから得ているため、影響が緩和されています。
ところで、私たちが呼ぶ「ドナウ川」の「ドナウ」はドイツ語(Donau)に由来しており、英語ではDanube(ダニューブ)、ハンガリー語では Duna(ドゥナ)などと呼ばれます。元を辿ると、古代インド・ヨーロッパ祖語で「流れる水」や「川」を意味する danuという言葉にまで遡れるそうです。古代ローマ時代には、ドナウ川は北方民族の侵入から帝国を守る境界線であり、川そのものが守護神Danubius(ダヌビウス)として神格化されていました。
現代では、ライン川やマイン川とを結ぶライン・マイン・ドナウ運河を通じて、北海から黒海へとヨーロッパ大陸を横断する一大水運路となっています。時代とともに「守るもの」や役割は変わっても、ヨーロッパにおけるドナウ川の重要性の大きさは今も変わりませんね。
さて、地球環境戦略研究機関(IGES)主催のISAP2026にて、グリーントランスフォーメーション(GX)に関するイベントが開催されるのでご案内します。
名称: ISAP 2026 テーマ別会合(TT-2)「政府・自治体・支援機関の連携による中小企業・地域のGX推進:成長と共生を実現するGX連携の可能性」
日時: 2026年9月4日(金)13:00~15:30
会場: ラッセホール(神戸市)/オンライン
主催: 地球環境戦略研究機関(IGES)
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
○ 主催者挨拶
川上 毅
IGES 事務局長
「地域でのGX連携を通じたシナジーの創出(仮題)」
田村 堅太郎
IGES 気候変動ユニット リサーチディレクター
○ 基調講演[1]
「中小企業のGX推進に向けた支援の在り方(仮題)」
河野 孝史
経済産業省 GX推進企画室長
○ パネルディスカッション[1]
「中小企業と地域を豊かにするGXとは:政府、自治体、支援機関の連携による支援体制の構築」
森本 英香
モデレーター:
森本 英香 早稲田大学法学部教授
パネリスト:
河野 孝史 経済産業省 GX推進企画室長
宮崎 真利 群馬県グリーンイノベーション推進課
千葉 武仁 東北銀行 みらい創生部長
竹下 竜介 神戸商工会議所 産業部次長
○ 基調講演[2]
「地域・自然と共生するGXに向けて(仮題)」
浜島 直子
環境省 地域脱炭素政策調整担当参事官
パネルディスカッション[2]
「自然と地域を豊かにするGXとは:自然環境や地域社会との調和を軸とした取り組みのモデル化」
モデレーター:
飯田 真弓
IGES 持続可能なファイナンス・ビジネスタスクフォース プログラムマネージャー
パネリスト:
浜島 直子 環境省 地域脱炭素政策調整担当参事官
松井 孝典 大阪大学 大学院工学研究科 助教
内藤 安紀 株式会社リコー ESG戦略本部ESGセンター 環境推進室 脱炭素グループ リーダー
○ 事例紹介
斉藤 陽
青森県環境エネルギー部環境政策課 企画政策グループ 主幹(オンライン登壇)
○ まとめ・今後の展開
藤野 純一
IGES 戦略マネージメントオフィス プリンシパルシナジーコーディネーター
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