IPCCの「第6次評価報告書 第1作業部会報告書」

Photo Credit:Glasgow Bridge, Glasgow by Stevie Spiers / CC BY-SA 2.0

今年2021年の11月1-12日にイギリスのグラスゴーで開かれるUNFCCC(気候変動枠組条約)のCOP26に向けてIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が「第6次評価報告書 第1作業部会報告書」を公表しました。

その内容は、「人間活動が空気、海、陸を温暖化させてきたことに疑う余地がない」というもので、広く報道されています。概要は既に御存じかと思います。

報告書では、実質ゼロ達成に必要となる二酸化炭素を大気から捕集する「ネガティブ・エミッション技術(ネッツ)」についても触れています。

排出量をいくら削減しても「なお残る排出」。これを補うネッツの中でも、人気がある「自然に基づいた解決策」である植林・造林には難点があるというレポートをお知らせします。

このレポートによると、国や組織が公表している量の二酸化炭素を実際に植林・造林で大気から捕集するには世界中の農地に等しい面積が必要になるなどで到底実現できない絵に描いた餅だとのことです。それを、仮に先進国や大会社が無理矢理実行すれば、食料生産に影響し貧困層に飢餓をもたらすなど、却ってマイナスの点が多くなるので、より慎重な計画立案をレポートは求めています。

「なお残る排出」をカバーし、実質ゼロを実現するはずの植林・造林が抱える課題については、2021年5月7日にお知らせした「植林による森林吸収の効果を考える」も御覧ください。