ヤモリの目とクリーン・コール・テクノロジー

以前は夜、家の外壁にぴたっと張り付いているヤモリを見かけると、「お、今日も虫を食べてくれるんだね。うんうん、頑張ってくれたまえ」といささか上から目線で見ていましたが、最近その態度を改めました。

夜行性のヤモリは、夜であっても色が鮮やかに見えているそうです。そう言われてみると、私たち人間は、暗くなると色が分からなくなって、白黒でしか見えませんよね。なんでも、京都大学の研究によると、ヤモリの目では、本来なら明るい場所で光を感知するタンパク質の性質が変化して、弱い光も感知できるようになっているためだそうです。

無理を通せば道理が引っ込むというか、暗いところで頑張っているうちに目の機能が進化してくれたのでしょうか。すごい力を身につけたものです。

昨年グラスゴーで行われたCOP26では、石炭火力発電を段階的に削減することで合意がなされました。電気の3割を石炭火力に頼っている日本にとってはなかなか厳しい流れが起こっています。

日本では、石炭燃焼時に発生する有害物質を除去し、より効率的に発電するクリーン・コール・テクノロジーといわれる技術を利用してCO2排出の実質ゼロを目指しています。

最近、イギリスの環境シンクタンクTransitionZeroがこの動きについて分析した報告書「日本の電力部門の脱炭素化における石炭新発電技術の役割」を発表しました。

報告書(日本語):
https://www.transitionzero.org/reports/advanced-coal-in-japan-japanese

分析の結果としては、CO2排出削減の能力に限界があるし高コストであり、実質ゼロの達成はできない、とした上でさまざまな提言がなされています。

この報告書の執筆者を招いたウェビナーも開催されます。
https://www.kikonet.org/event/2022-03-15

これらの分析や提言をどう読み解くか、については様々な意見がありそうです。でも、無理を通して、新しい能力を身につけ、道理を引っ込ませることができたら、それもまたちょっと痛快ですよね。