ロシアとヨーロッパ 「パイプライン地政学」JOGMEC

「ノルドストリーム」ガスパイプライン海底区間建設開始の記念式典(2010年4月9日)[The Presidential Press and Information Office / CC BY 3.0 / www.Kremlin.ru]

ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、これまで石油・天然ガス輸入でロシアへの依存度が高かったヨーロッパの国々が、「脱ロシア」に大きく舵を切りました。ヨーロッパのエネルギー事情の変化は、すでに世界のエネルギー事情にも大きな影響を与えていますので、目が離せません。

2月の侵攻開始以来、さまざまな情報が溢れていますが、そこから一歩引いて、この危機的状況が起きる以前に書かれていた情報に触れてみるのも悪くないかと思います。

独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の「石油・天然ガスレビュー」2012年11月号に「ロシア・CISにおけるパイプライン地政学」という分析レポートがあります。ロシアによるジョージア侵攻が2008年。ウクライナ騒乱とクリミア半島の併合が2014年。その間の時期に書かれたレポートということになります。

地政学とパイプラインの関係、2006年のウクライナ・ロシアのガス紛争、プーチン大統領の過去の発言、パイプラインが持つ特質、パイプラインの政治性、ソ連時代のパイプライン、アメリカ政府の考えなどについて書かれています。

レポートの冒頭「はじめに」を引用すると

「本稿は、パイプラインに関する機能上の特徴、紛争があった場合の対処等に関する議論に関して、近年の事例を渉猟することにより、パイプラインの特質を実証的に論じたものである。国際パイプラインによるガス供給に関する疑問を解く一助となれば幸いである」

JOGMEC「石油・天然ガスレビュー」2012年11月号「ロシア・CISにおけるパイプライン地政学」

とあります。

図表もあって分かりやすく、現在のヨーロッパのエネルギー情勢について、パイプラインという観点から理解を深めたい方にとっては大いに参考になると思います。