温暖化した世界への準備 幸せホルモンを断つ

脱炭素で温暖化を防止。これは重要ですが、もうひとつ、温暖化してしまった世界に備えることも重要だな、と改めて思いました。

蚊。悪気があって人を刺しているわけではないのであまり敵視したくないのですが、これは間違いなくやっかいな相手です。デング熱やマラリア、黄熱病などさまざまな感染症を媒介するのに、その駆除がなかなか難しく、しかも気温の上昇にともなってその分布を着実に北方に広げています。

最近では殺虫剤にも耐えられる蚊(耐性蚊)も増えているようで、頭をかかえたくなります。

8月30日に名古屋大学が、蚊の「耳」を操る物質を発見した、という研究結果を発表しました。

幸せホルモンとして知られる「セロトニン」という神経伝達物質があります。日光を浴びたり、リズミカルな運動をすると活性化され、精神を安定させる働きがあります。

昆虫にはジョンストン器官という、音や重力変化、風向きを感知する高精度の聴覚器があり、雑音を排除して仲間の羽音だけを厳密に検出することができますが、蚊は昆虫の中でもこれが特に発達しています。この器官にセロトニンが存在することは知られていたものの、その働きについては分かっていませんでした。

蚊が交尾を行うとき、オスはメスの羽音をたよりにしてメスに接近します。ところが、今回の研究でネッタイシマカのオスのセロトニンを阻害するようにしたところ、メスへの接近が明らかに少なくなることが分かりました。セロトニンを制御することで聴覚器の機能に影響を及ぼし、蚊の繁殖行動を制御できるのではないか、という可能性が開けたことになります。

人間の場合、幸せホルモンであるセロトニンが不足すると精神のバランスが崩れてうつ病の原因になったり、暴力的になったりするそうです。そのあたり、蚊はどうなのでしょうか…。「20XX年、セロトニンを断たれて暴力的になった蚊による人類への反撃が始まった…」みたいなサイエンスフィクション的展開は避けたいですが、この研究がさらに進んで、うまく蚊のコントロールができる
ようになることを期待したいですね。