大掃除からブレイクスルー ノーベル賞

1982年の暮れ。新しい電池の研究に取り組んでいた吉野さんが「ちょうどいい素材がなかなか見つからんなあ…。もう今年も終わりか。参ったなあ…。あ、そうだ。年末だし、大掃除でもするか…。そうだ、そうしよう!」と、本当に言ったかどうかは分かりません。しかし吉野さんはこの日、研究室の大掃除のあと、気分がすっきりしたせいか、ふと思い出して、取り寄せたもののまだ読んでいなかった論文に手を伸ばしました。

この手が、電池の歴史を大きく変えました。

それはオックスフォード大学のジョン・グッドイナフ博士が書いた、電池の素材に関する論文で、これを読んで新しい着想を得た吉野さんは、やがて素材の問題を乗り越え、商業利用につながるリチウムイオン二次電池(充電可能な電池)を開発するに至りました。

この功績により、吉野彰博士とジョン・グッドイナフ博士、そして(1976年に世界最初のリチウムイオン二次電池を開発した)スタンリー・ウィッティンガム博士の3人が2019年にノーベル化学賞を共同受賞しました。

ノーベル化学賞に吉野彰氏 リチウムイオン電池開発

起こるべくして起きた必然のような偶然が、壁を突き破るきっかけになったんですね。何かに行き詰まったら大掃除。いいかもしれません。

さて、吉野彰氏が名城大学総合研究所のカーボンニュートラル研究推進機構名誉顧問として10月に講演を行いますが、オンライン参加ができますので、ご案内します。

名称: 名城大学カーボンニュートラル研究推進機構シンポジウム
    「カーボンニュートラル達成にむけた名城大学発の研究推進」
日時: 2022年10月10日(月)13:30~16:00 
会場: 名城大学天白キャンパス/オンライン 
主催: 名城大学総合研究所
参加費: 無料 
内容:
名城大学公開講座2022(全14講座)のひとつ。2050年までの脱炭素社会に向けて、吉野彰終身教授による講演、名城大学の研究活動によるカーボンニュートラルへの展望や取り組みについて紹介。

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