海藻でゲップを減らす

初めて行くおしゃれなレストラン。口元に端正な髭をたくわえたシェフが低く渋い声で「いらっしゃいませ。今夜は皆さんのために緑色のオージービーフをご用意致しました」と言ったら、「え?おいおい…」と思うでしょう。しかし「あ、間違えました。グリーンなオージービーフです」と聞けばちょっと安心して「お、悪くないねぇ」となりそうです。
言葉って面白いものですね。

環境関連の、特に食物に関する革新的イノベーションを表彰するものとして世界最大級の賞金額を誇るCurt Bergfors Food Planet Prize(Curt Bergfors フードプラネット賞)という賞があります。2020年にオーストラリアのフューチャーフィード(FutureFeed)社がこれを受賞しました。

Food Planet Prize 2020 – Prizewinner FUTUREFEED(受賞者紹介)

「牛のゲップを減らす」技術の知的財産権の管理と商業化を行っている会社です。

オーストラリアの研究機関と大学が2016年に「カギケノリ」(Asparagopsis taxiformis)という赤紫色の海藻をヒツジの飼料に混ぜて与えると、ヒツジがゲップやおならで排出するメタンガスが80%減少するという研究結果を発表しました。

「人間が人前でゲップするのは良くないけど、ヒツジがゲップしたって問題ないでしょう」と思いたいところですが、そうもいきません。温暖化で山火事の増加が指摘されているオーストラリアでは、温暖化ガス排出量の実に1割が牛やヒツジによるものなので、これは放っておけない大きな課題です。

その後も研究が進められ、2020年に、蓄積された研究成果と技術を活用した飼料生産の商業化を推進するべく設立されたのがこのフューチャーフィード社です。設立されたその年にこの賞を受賞しているのですから、この事業に対する期待の大きさが窺い知れます。「グリーンなオージービーフ」があたりまえになるといいですね。

自然界にあるものを利用して脱炭素につなげる、こうした取り組みは日本にもあります。

去る9月に広島県大崎上島町に完成した施設「カーボンリサイクル実証研究拠点」は、隣接する発電所から分離・回収したCO2を研究用に直接供給できる日本初の施設です。そこには、
・実証研究エリア
・基礎研究エリア
・藻類研究エリア
の三つがありますが、特に藻類研究エリアでは、藻類を原料としたバイオジェット燃料の製造技術に関する研究が行われています。

広島では、他にもさまざまな企業や研究者、スタートアップなどが研究・実証実験を行なっています。そのメリットや魅力について、広島県知事や企業、大学、専門学校からの代表者らが語るイベントがありますのでご案内します。

名称: 環境・エネルギーをテーマに、実証・研究フィールドとしての広島の魅力を語るイベント
    「HIROSHIMA GREEN INNOVATION SESSION

日時: 2022年11月22日(火)13:30~16:30
会場: CIC Tokyo(東京港区)/オンライン
主催: 広島県 /ENERGY OF PEACE ひろしま
参加費: 無料

内容:
・SESSION 1 研究・実証フィールドとしての広島の魅力とは
出雲 充 氏 / 株式会社ユーグレナ 代表取締役社長 
奥原 啓輔 氏 / プラチナバイオ株式会社 CEO 
木村 周 氏 / 株式会社アルガルバイオ CEO 
湯﨑 英彦 氏 / 広島県知事

・SESSION 2 広島で活躍する方々の取組の紹介(広島会場から生中継)
大沼 みお 氏 / 広島商船高等専門学校 准教授
北條 雅康 氏 / 株式会社ジャパンモスファクトリー 取締役
谷本 肇 氏 / 株式会社ガルデリア 代表取締役CEO
竹下 毅 氏 / 株式会社アルガルバイオ 取締役CSO/創業者
神原 信志 氏 / 岐阜大学 教授
楠 一成 氏 / KGモーターズ株式会社 代表取締役兼CEO
眞鍋 顕秀 氏 / 株式会社SPACE WALKER CEO

・SESSION 3 共創意向のある県内企業からの事業紹介(広島会場からの生中継)
栗田 翼 氏 / オタフクソース株式会社 マーケティング部共創課
入川 健一 氏 / 中国電力株式会社 エネルギア総合研究所マネージャー
木下 浩志 氏 / マツダ株式会社 経営戦略室主査
森原 雅幸 氏 / 三菱重工業株式会社 カーボンニュートラル室室長

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