ゼロカーボンシティー 今川義元も見つめる 静岡市

歴史の中では、敗れた者の影が薄くなりがちです。
油断したために桶狭間の戦いで織田信長に敗れたとされる今川義元ですが、「海道一の弓取り」(東海道で最も優れた武士)と評価され、武田信玄や北条氏康と互角に渡りあった名のある武将でした。政治家としても、法律を整備して自国領の統治にも優れた手腕を発揮し、都を逃れた公家たちを保護して京都の文化を駿河に広め、山口の大内氏と福井の朝倉氏と並ぶ「戦国三代文化」と称される今川文化を築いた人物でもあります。

その今川義元が礎を築いた町が、現在の静岡市です。

静岡市は2020年12月に、2050年温室効果ガス排出実質ゼロを宣言しました。

その取り組みは特に清水地区で重点的に行われており、2022年4月には環境省の脱炭素先行地域(第1回)に選定されました。取り組みのポイントをいくつか挙げると以下の通りです。

・遊休地に太陽光発電設備を設置して、自営線を使って再エネを供給する。

・市内の住宅やビル、工場にPPAを使って太陽光発電の導入を拡大。自家消費しきれない余剰電力は先行地域に供給する。
注)PPA(Power Purchase Agreement, 電力販売契約。事業者が自治体などの遊休地等を借りて無償で発電施設を設置。需要家がそこで発電された電力を購入する)

・再エネ由来の水素を製造して燃料電池(FC)バスに供給。グリーンモビリティを推進する。

・再エネの地産地消によって、住民所得の域外流出を抑制する。

詳しくはこちらをご覧ください。
静岡市:脱炭素先行地域の選定について

また、静岡市が2020年3月にまとめた「静岡市気候変動適応策アクションプラン」では、「気候変動の影響に強いまち・静岡」を目指しており、重点的に取り組む分野として
・自然生態系
・自然災害・沿岸域
・市民生活
・産業・経済活動
の4分野が挙げられています。これらは、静岡市の目指す「歴史文化のまち」と「健康長寿のまち」と密接に関わっています。

2020年5月、生誕500年祭の一環で今川義元の銅像がJR静岡駅北口に設置されました。魅力あるまちづくりと脱炭素への取り組みを進める静岡市の発展をこれからも見守ってもらえそうですね。