木質ボードも炭素の貯蔵庫

木材を利用するためには森の木を伐採する必要があるので、木材の利用は森林の減少につながってよろしくない…という見方もありますが、物事にはさまざまな側面があるものですね。

7月7日、東京農工大学と日本繊維板工業会の研究が公表されました。過去70年間で木質ボードがどれくらい炭素を貯蔵してきたのかを解明したものです。よく考えたら、木材資源は、森林から切り取られてきても、利用・再利用されている間は炭素を貯蔵し続けているんですよね。しかしこれまで、木質ボードの炭素貯蔵量や気候変動対策への貢献度について、ほとんど検討されたことがありませんでした。

東京農工大学:過去70年間の日本の木質ボードの炭素貯蔵量を解明

この研究結果によると、木質ボード産業が本格化した1953年以降、炭素の貯蔵量は増え続けており、2022年の日本の木質ボードに貯蔵されている炭素の量は約2,200万炭素トン(t-C)、二酸化炭素量換算では約8,000万t-CO2 になるそうです。普通自動車で地球を2周半(約10万km)走った時のCO2排出量が10t-CO2と言われているので、その貯蔵量はなんと800万台の車が地球を2周半回った時に排出されるCO2に相当しますから、これはなかなかの量だということが分かります。

今後は木質ボードの気候変動緩和効果を解明していくそうです。こうした研究結果をもとに、木材の有効活用が進んでいくことが期待されています。

さて、5月31日のニュースレターで、一般社団法人プラチナ構想ネットワークが開催したシンポジウム「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」(6/14開催)をご紹介しました。この続きとなるシンポジウムが開催されるのでご案内します。

森林産業イニシアチブのフェーズ2の企画説明とともに、バイオマス化学の動向や、木造都市にむけた取り組み、森林林業に関する講演が行われます。

名称: プラチナ森林産業イニシアティブ フェーズ2企画説明会
日時: 2023年8月1日(火)10:00~11:30
会場: 三菱総合研究所(千代田区)/オンライン
主催: 一般社団法人 プラチナ構想ネットワーク
参加費: 無料
主な内容: 下記HPより抜粋 
・開会挨拶:株式会社トクヤマ 代表取締役社長執行役員 横田 浩氏

・テーマ別講演:
(1)「バイオマス化学の動向と課題」
日揮ホールディングス株式会社執行役員CTO 水口 能宏氏
株式会社リグノマテリア取締役専務CTO 見正 大祐氏

(2)「木造都市の動向と課題」
株式会社シェルター常務取締役 安達 広幸氏

(3)「主伐・再造林に向けて」
会津森林活用機構株式会社取締役 小林 靖尚氏

・森林産業イニシアティブフェーズ2企画説明:
一般社団法人プラチナ構想ネットワーク顧問 鎌形 太郎

・閉会挨拶:
一般社団法人プラチナ構想ネットワーク 会長 小宮山 宏

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