見つけ出すことから始まる “インベントリー”

「最近、どうもカタカナが多すぎていけないわ」などと思い始めたら要注意でしょうか…。ともあれ、慣れていくしかありませんよね。

英語の”invent” (インベント)は「発見する」という意味があります。
これに -or を足した”inventor”(インベンター)は「発見者、創案者」。
さらにこれに -y を足した”inventory” (インベントリー)は、「見つけたもののリスト」という意味を持つことから「目録、明細、一覧表、在庫、棚卸し」という意味で使われています。

1991年、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)に参加するそれぞれの国で、温室効果ガスをどれくらい排出または吸収しているのか、その量を推計する方法を提供していくことが決まりました。温室効果ガスの量、つまり目録(インベントリー)がどうなっているのか、みんなが確認できるようにしようというわけです。

こうした目録の計算や報告に関わる手法を開発すること。そしてその手法を使うように各国に呼びかけていくこと。これらを目的に設立されたのが「国別温室効果ガスインベントリープログラム」(National Greenhouse Gas Inventories Programme, NGGIP)です。

当初はIPCCとOECD(経済協力開発機構)、そしてIEA(国際エネルギー機関)が協力して運営していましたが、1998年にその業務をおこなう作業部会をIPCC内に設置することになりました。それが ”Task Force on National Greenhouse Gas Inventories”です。略称は“TFI”。日本語では「インベントリータスクフォース」と呼ばれています。

このTFIの技術支援ユニットが、地球環境戦略研究機関(IGES)の葉山本部(神奈川県)に置かれており、温室効果ガスの目録の算出や報告の手法に関するガイドラインを作成するなどの支援を行なっています。

このインベントリータスクフォースの仕事に関する記事があります。「ウシのゲップは大事なのか?」とか「専門家の意見の対立をまとめるのが大変」とか、舞台裏の様子が見えてとても興味深いですよ。

DOWAエコジャーナル:その道の人に聞く
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)とは その4
~TFI(インベントリータスクフォース)の仕事(1)~

さて、IPCCに関連したシンポジウムが開催されるので、ご案内します。

名称: IPCCシンポジウム『IPCC第7次評価報告書へ向けて ~未来のために今私たちが行動しよう~』
日時: 2023年 10月 23日(月)14:00~16:45
会場: 東京国際フォーラム/オンライン 
主催: 環境省
参加費: 無料

主な内容:下記HPより抜粋 
※日英同時通訳を用意します。オンライン配信は日本語音声での配信となります。

・ビデオメッセージ
Jim Skea/IPCC AR7 議長(AR6 WG3共同議長)、
インペリアル カレッジ ロンドン 持続可能エネルギー科教授

・基調講演1 「需要側の機会を通じた気候変動の緩和:AR6の新規性」 
Diana Urge-Vorsatz/IPCC AR7副議長(AR6 WG3副議長)、
中央ヨーロッパ大学環境科学・政策学部教授

・基調講演2 「都市と気候変動: AR6からAR7へ」
Winston Chow/IPCC AR7 WG2共同議長(AR6 WG2 主執筆者(LA))、
シンガポールマネジメント大学都市気候学准教授

・基調講演3 「TFIの概要と活動内容」  
榎 剛史/IPCC AR7 TFI共同議長、公益財団法人 地球環境戦略研究機関フェロー

・パネルディスカッション
「これまでのIPCC評価報告書の成果と今後の課題をふまえた第7次評価サイクルへの期待」
モデレーター 沖 大幹/東京大学大学院工学系研究科教授(IPCC AR6 WG2 第8 章RE)
パネリスト
・Diana Urge-Vorsatz(IPCC AR7副議長)
・Winston Chow(IPCC AR7 WG2 共同議長)
・榎 剛史(IPCC AR7 TFI 共同議長)
・江守 正多/東京大学未来ビジョン研究センター教授、
 国立環境研究所地球システム領域上級主席研究員(IPCC AR6 WG1 第1章LA)
・平林 由希子/芝浦工業大学工学部土木工学科教授(IPCC AR6 WG2 第4章LA)
・秋元 圭吾/公益財団法人地球環境産業技術研究機構システム研究グループリーダー・
 主席研究員(IPCC AR6 WG3 第17 章LA)
・山形 与志樹/慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネージメント研究科教授
(IPCC AR6 WG3 第8章LA/AR6 土地関係特別報告書 第6章RE)※オンライン参加

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