サハラの雪

アルジェリアの話です。アフリカ大陸の北西部を切り取るように横たわるアトラス山脈の中に、アイン・セフラという町があります。

アルジェリアでフランスが勢力圏を広げつつあった19世紀後半、アイン・セフラを含む地域でフランスと地元住民との間で戦闘が頻発しており、その軍事的な重要性から、1881年にはここにフランス軍の拠点が置かれた歴史があります。

アイン・セフラは「サハラ砂漠への入り口」としても知られている町ですが、2016年12月、雪が降って大きなニュースになりました。

Independent: First Sahara desert snow in 40 years captured in photographs

灼熱のサハラ砂漠に雪?と驚いてしまいましたが、実はここは標高1000mほど。夏の過去最高気温は40℃前後になりますが、冬の寒い時にはマイナス10℃以下を記録したこともあるそうです。気温が低くても、十分な湿度がないと雪は降りませんから、珍しい現象であることは間違いありません。この地域で2016年以前に降ったのは、40年近く遡った1979年2月のことです。

ところが、この2016年の降雪の後、アイン・セフラでは2017年、2018年、2021年、2022年にも雪が降りました。2018年のケースでは、30cmも積もったところがありました。

こう聞くと、これは地球温暖化の影響なのかもしれないな、と思ってしまいます。

しかし、南アフリカのウィットウォータースランド大学の自然地理学教授ジャスパー・ナイト氏によると、1970年台以前の観測データがないため、サハラ砂漠での降雪が増えているのか減っているのかは、なんとも言えないそうです。

自分では意外なことだと思っても、実は昔から時々起こっていた現象なのかもしれません。面白いものですね。

さて、日本を取り囲む海と気候には、どんな変化が起こっているのか。そんなことがテーマのシンポジウムが開催されますので、ご案内します。

名称: 公開シンポジウム 日本の周りは気候の「ホットスポット」~近年の海の流れと極端な気象~
日時: 2024年3月23日(土)13:30~17:15 
会場: 東京大学/オンライン 
主催: 科学研究費助成事業・新学術領域研究「変わりゆく気候系における中緯度大気海洋相互作用hotspot」
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

「台風に影響を与える海の中の巨大な”アレ”」
西川 はつみ(東京大学 大気海洋研究所)
岡 英太郎(東京大学 大気海洋研究所)

「温暖化で極端な気象が増えたのは本当か」
川瀬 宏明(気象庁 気象研究所)
今田 由紀子(東京大学 大気海洋研究所)

「終わらない黒潮大蛇行!?見えてきた日本への影響」
杉本 周作(東北大学 理学研究科)
栃本 英伍(気象庁 気象研究所)

「昨夏の記録的猛暑─海からの影響は?」
中村 尚(東京大学 先端科学技術研究センター)
野中 正見(海洋研究開発機構)

パネルディスカッション・質問タイム
進行:多森 成子(三重テレビ 気象キャスター)

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