生分解性プラスチック 深海でも分解するか

テレビやネットで「〇〇がダイエットにいい!」「老化防止には〇〇を食べるといい!」と聞いたときに、「それって本当なの?」と疑問を持つことは大切ですよね。「〇〇が環境にいい」というのも同じですね。

海洋プラスチック汚染問題が深刻化するなか、さまざまな素材を利用した生分解性プラスチックが開発されています。ただ、陸上では分解されても、微生物の数も多様性も少なくなる水中では分解されにくいこともあります。そんな壁を乗り越えて、水中でも分解されるプラスチックも開発されています。

そこで「海に流出したプラスチックが最終的に行き着くのは深海。果たして、そんな環境でも本当に分解されるのか?」という点を調べた東京大学などの研究成果が今年1月に発表されました。

東京大学:生分解性プラスチックは深海でも分解されることを実証
――プラスチック海洋汚染問題の解決に光明――

日本近海の深海底5カ所で調べたところ、生分解性プラスチックでできたレジ袋が3週間から2ヶ月間で生分解されることが分かりました。生分解性プラスチックが深海で微生物によって分解されることを世界で初めて証明しました。さらに良いことに、この分解に関わった微生物は世界中の海底にいることが分かりました。

水中で分解する生分解性プラスチックが、プラスチック汚染問題の解決に貢献することが証明されたわけです。これからも、さらに優れた分解機能を持つプラスチックの開発に期待したいですね。

(なお、「ポリ乳酸」は生分解性プラスチックに分類されていますが、一般の土壌や河川水などでは分解しません。今回の実験でも用いられましたが、微生物は付着せず、分解されていませんでした)

さて、プラスチック汚染問題について、国連大学の主催するイベントをご案内します。

名称: 東京ブルートーク2024:持続可能で健全な海を目指して
     ープラスチック汚染が持続可能なブルーエコノミーに与える影響

日時: 2024年5月9日(木)14:00~16:30 
会場: 国連大学 
共催: 国連大学、在日コスタリカ大使館、在日フランス大使館
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 (言語は英語のみ。通訳はありません)

〇開会挨拶
・アレクサンダー・サラス・アラヤ 閣下(駐日コスタリカ共和国大使)
・フィリップ・セトン閣下(駐日フランス大使)
・アルノルド・アンドレ外務大臣(事前収録)

〇基調講演 
・チリツィ・マルワラ国連大学学長兼国連事務次長
「水面下の生命:国連システムはいかにして海洋保護に取り組んでいるか」(事前収録)

・渡辺綱男博士(国連大学サステイナビリティ高等研究所
いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット 所長)
「里海の生態系と海景の保全と再生」

・木村友美氏 (JICA地球環境部環境管理チーム課長)
「クリーン・シティ・イニシアチブと海洋プラスチック汚染」

・ハジアリッチ秀子氏(国連開発計画(UNDP)日本事務所長)
「プラスチック汚染を終わらせる: 課題と機会」

質疑応答

〇閉会挨拶
松澤裕地 環境省球環境審議官

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