材料の切り替え 一筋縄でない

ブロックのレゴといえば、スターウォーズに出てくる戦闘機を実寸大で作ってニューヨークで公開したことがあります。2013年のことでした。全長13mの「Xウィング・スターファイター」を、4ヶ月の期間と約530万個のブロックを費やして制作したのでした。2017年には名古屋にレゴランド・ジャパンができて、開業後半年も経たないうちに来場者数が100万人を超えました。子供から大人まで魅了し、世界中で愛されているブロックですよね。

レゴのブロックは石油由来のABS樹脂でできているため、環境に配慮して再生PETを素材に切り替えるべく2020年から研究を始めました。2021年には試作品ができたのですが、去年9月、その計画を断念するとの発表がありました。

JIJI.COM:レゴ、再生ペット製のブロック断念 「魔法の素材見つからず」

再生PETはABS樹脂よりも柔らかいため、安全性や耐久性を確保するためには追加の工程が必要となり、着色も難しく、結局これまで以上に多くのエネルギーを消費してしまう、つまり温室効果ガスの排出量が増えてしまうという結論に至ったのです。

ただ、レゴのパーツの中にはサトウキビ由来のプラスチックで作られたものがすでに200種類ほどありますし、脱石油化を目指す取り組み、持続可能な素材の追求はまだまだ続けていくそうです。

材料を切り替えるのは、やはり簡単なことではないんですね。世界の人々に夢を与えるレゴですから、研究と技術が進んで、いつの日かいいものが見つかることを願っています。

さて、日本学術会議の主催で環境工学に関するシンポジウムが開かれるのでご案内します。

名称: 公開シンポジウム「第36回環境工学連合講演会」
日時: 2024年5月28日(火)10:00~17:10 
会場: 日本学術会議講堂(東京都港区)/オンライン 
主催: 日本学術会議環境学委員会環境科学・環境工学分科会
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

【都市システム】
◎ 座長:小瀬博之(空気調和・衛生工学会/東洋大学)
A-01 招待講演:「環境地盤工学とカーボンニュートラル」
A-02 招待講演:「都市・建築のカーボンニュートラルと強靱化のためのシステムデザイン」
A-03 招待講演:「建築設備機能のレジリエンス向上と環境配慮技術の社会実装に向けて」

【インフラストラクチュア】
◎ 座長:松山智哉(日本機械学会/三機工業株式会社)
A-04 招待講演:「社会環境変化に対応した多様な水道社会の構築へ向けて」
A-05 招待講演:「持続可能性を追求したごみ処理施設のありかた」
A-06 招待講演:「メンテナンスコスト平準化のための腐食リスク予測マップの構築」

【特別講演】
◎ 座長:中井智司(化学工学会/広島大学)
S-01特別講演:「カーボンニュートラルで持続可能な化学産業のあり方に関する考察」

【資源・エネルギー】
◎ 座長:一ノ瀬俊明(環境科学会/国立環境研究所)
P-01 招待講演:「産業の脱炭素化と調和したプラスチック資源循環」
P-02 招待講演:「プラスチックのサーキュラーエコノミーシステム構築を支援する環境情報」
P-03 招待講演:「鉱物資源の持続的な供給は可能なのか?」
P-04 招待講演:「高性能エネルギー・環境デバイス開発に向けた界面分析研究」

【環境管理】
◎ 座長:加用千裕(日本LCA学会/東京農工大学)
P-05 招待講演:「持続可能な窒素管理に関わる大気環境問題」
P-06 招待講演:「持続可能な農業地域に寄与するカスケード型資源循環システム構築への挑戦」
P-07 招待講演:「ミクロ固液界面を反応場にした環境材料の開発と応用」
P-08 招待講演:「リジェネラティブでカーボン・オフセットな農業に向けた風化促進技術の開発」

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