5月9日に環境省が第6回目の「脱炭素先行地域」を発表しました。今回の提案数は15件で、選定されたのは7件でした。
脱炭素先行地域選定結果(第6回)について(環境省、2025年5月9日)
第1回目の提案数は79件で選定されたのは25件、その後はだんだん少なくなっています。でも目標の選定数が「(2025年度までに)少なくとも100か所」とされている中、この第6回を含めて現在までに88か所が選定されていますので、もうすぐ目標に到達しそうですね。
今回の選定について、主な提案者と提案タイトル、そして各地で行われている様々な取り組みの中から特徴的なものをワンポイントだけあげてみました。
【山形県米沢市・飯豊町】
「米沢飯豊発!米沢牛と地域連携で挑む肉用牛バイオガス発電モデル2.0による脱炭素への道」
(ワンポイント)
米沢牛のふんを利用してバイオガス発電と液肥の生産を行い、”カーボンニュートラルな米沢牛”としてブランド価値の向上させる。
【千葉県市川市】
「賃貸集合住宅密集地で挑戦! 健康住宅で快適 選ばれる街 いちかわ~農地から住宅地、そして脱炭素の街へ」
(ワンポイント)
集合住宅の脱炭素化や断熱性能の向上をはかって住環境を改善し、子育て世帯が市外に転出してしまうのを防ぐ。
【福井県池田町】
「脱炭素化困難な豪雪地帯における県と町の連携による地域脱炭素実現~町が取り組み、県が支えて、民とともに、県内・北陸・全国に展開するノウハウ波及型の脱炭素プロジェクト~」
(ワンポイント)
融雪機能付き太陽光発電設備を導入して、再エネを導入しつつ雪下ろしの負担を軽減する。
【鳥取県倉吉市】
「グリーンエネルギーが紡ぐ東大山(だいせん)コミュニティ~地域内径座循環システムによる集落・農業の強靭化~」
(ワンポイント)
耕作放棄地を解消するために、どくだみなどを栽培する営農型太陽光発電を導入。売電と地場産品の販売で収益の増加を図る。
【広島県北広島町】
「水と共生するまちづくり~町と県が連携した行政主導型小水力発電~」
(ワンポイント)
小水力発電の開発を行政が主導して、導入から維持管理までを支援するスキームを構築。さらに小水力発電の研究を推進してその知見を発信し、県内の他の自治体に展開していく。
【愛媛県今治市】
「しまなみ海道×今治タオル産業群 -ゼロカーボンライン×ゼロカーボンクラスターが織りなす愛媛の未来-」
(ワンポイント)
国際的にも知名度が高い二つの地域資源「しまなみ海道(サイクリングロード)ブルーライン」「今治タオル」を、ソフト・ハードの両面で脱炭素化。交流人口を拡大して島しょ部の経済を活性化。
【宮崎県宮崎市】
「Go Next 100 ~持続可能な「まちなか脱炭素型モデル」の確立~」
(ワンポイント)
中心市街地である宮崎駅周辺エリアで3棟(マンション、オフィスビル、ホテル)のZEBを新築し、既存建築物16棟もZEB化。まちの価値向上と活性化を図って中心市街地の人口密度を増加させ、業務系施設や投資を呼び込む。
こうしてみると、それぞれの地域の特色をうまく活用して、脱炭素化と地域の活性化や課題解決に取り組んでいるのが分かりますね。
さて、日本経済新聞社の主催で製造業の脱炭素化についてのセミナーが開催されるのでご案内します。
名称: いま日本の製造業が取るべきカーボンニュートラル戦略
日時: 2025年5月29日(木)11:00~12:00
会場: オンライン
主催: 日本経済新聞社 情報サービス部門 情報サービスユニット
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
カーボンニュートラル宣言から4年以上が経過しました。日本では2027年3月期からスコープ3の開示義務化が順次適用される見通しで、サプライチェーン全体での対応が不可欠となり、大企業だけでなく中堅・中小企業にも影響が及びます。
一方で、米国での政権交代により脱炭素への姿勢に変化が見られ、不確実性が高まる中、企業には適切な経営の舵取りが求められています。
本セミナーでは、「日経ものづくり」編集長の吉田勝氏をお迎えし、カーボンニュートラルに関する世界の潮流や、日本の製造業が取るべき戦略、さらにスコープ3対応の必要性について、事例を交えて詳しく解説します。経営企画・事業企画・サステナビリティ部門の皆さまにとって、次のアクションへとつながる貴重な知見を得られる内容です。この機会にぜひご参加ください。
【基調講演】「いま日本の製造業が取るべきカーボンニュートラル戦略」
吉田 勝 氏
日経BP株式会社 日経ものづくり編集長/日経クロステック副編集長
詳しくはこちらをご覧ください。