ぬるま湯で育てるタフなサンゴ

「そんなぬるま湯に浸かっていたらダメになるぞ!」なんて言われたことはないでしょうか。しかしこれからは涼しい顔で「え、ぬるま湯のなにがいけないんですか?」と言い返せるかもしれません。

チュラロンコン大学(タイ)のスチャナ・チャバニッチ教授らの研究で、誕生以降ぬるま湯(32~34℃)で育てたサンゴが地球温暖化によりよく適応していることが分かりました。

“Chula Researcher Develops “Global-Warming Resistant Corals” for the Survival of Marine Ecosystems” (チュラ大学の研究者が海洋生態系の存続のために”地球温暖化耐性サンゴ”を開発)(チュラロンコン大学、2025年5月13日)

研究チームは2005年からサンゴの繁殖実験を行なってきて、「サンゴは生まれた時から高温下で育てれば、地球温暖化の状況でも繁栄できる」という結論に至りました。それだけでなく、サンゴの人工授精の技術も開発し、サンゴの精子の凍結にも成功しました。卵子の凍結技術はまだ確立できていませんが、これが成功すれば、サンゴが繁殖するときに放出する大量の精子・卵子を採取して保存しておき、海の環境が改善したときにサンゴを復活させることも可能になります。

温暖化に耐え得るタフなサンゴをつくる方法と、保存しておく方法を開発。サンゴというと白化現象のニュースが多い中、希望が持てる話ですね。

でも、よく考えたら、このぬるま湯、サンゴにとっては過酷な環境なんでしょうね。やはり人間もサンゴも、厳しい環境で鍛え上げてこそタフになれる、ということなんですね。

さて、森林総合研究所の主催で生物多様性目標の達成と持続可能な社会の実現に関連するセミナーが開催されるのでご案内します。

名称: 「生物多様性目標の達成と持続可能な社会の実現に向けて:IPBESネクサス・社会変革評価から見る研究の最新動向と今後の課題」
日時: 2025年6月6日(金)13:30~15:30 
会場: オンライン 
主催: 森林総合研究所
参加費: 無料

主な内容:下記HPより抜粋 

○ 趣旨説明
古川拓哉(森林総合研究所 主任研究員)

○ 環境省挨拶
永田綾(環境省自然環境局自然環境計画課 生物多様性主流化室長)

【講演1】「ネクサス評価と研究動向:ネクサス研究の紹介」
Ronald C. Estoque(森林総合研究所 主任研究員)

【講演2】「ネクサス評価とその実現に向けて:食料システムの事例からネクサスの問題を考える」
飯山みゆき(国際農林水産業研究センター 情報プログラム プログラムディレクター)

【講演3】「社会変革評価と研究動向:社会変革研究の紹介」
西麻衣子(日本大学生物資源科学部 教授)

【講演4】「社会変革評価とその実現に向けて:生物多様性、気候変動、持続可能な発展の統合的な視点から」
森田香菜子(慶應義塾大学経済学部 准教授)

○ ディスカッション

○ 閉会挨拶
中静透(森林総合研究所 所長)

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