美しい運河の景観で知られる”水の都”アムステルダムに、気候政策や土地利用、持続可能なファイナンスを行うコンサルタント会社クライメット・フォーカス(Climate Focus)の本社があります。彼らが事務局を務める「森林宣言評価」(Forest Declaration Assessment)という取り組みがあり、”2030年までに森林減少を反転させる”という世界の森林目標に向けた進捗状況を追跡し、さまざまな組織や団体の調査報告をまとめ、森林の破壊、劣化、回復、生物多様性、財政、権利、ガバナンスを網羅した年次評価報告書を作成しています。
2025年10月13日に2025年版の報告書が公表されました。
Forest Declaration Assessment 2025
ざっくりしたポイントが挙げられているので、書き出してみます。
「森林破壊と劣化の率は2024年も依然として高いまま」
・2030年までに森林減少を食い止め、逆転させるという共通の目標から世界はさらに遠ざかっている。
・一部の国では進歩が可能であることを実証している。
・しかし、世界的な傾向は依然として変革ではなく「停滞」。
「2024年には810万ヘクタールの森林が失われた」
これは2030年までに森林破壊を止めるために必要な軌道よりも、63%高い破壊レベル。
「炭素と生物多様性のかけがえのない宝庫である湿潤な原生熱帯林の喪失は、2024年に急増した」
主に気候変動による森林火災の増加による。
「2024年には森林劣化により880万ヘクタールが影響を受ける」
生態系の健全性と気候に対する回復力が損なわれる。
「森林再生への取り組みは拡大している。が…」
・世界中で少なくとも1,060万ヘクタールの森林で再生プロジェクトが実施されているが、 世界全体のデータは依然として断片的。
・世界が必要な規模で森林を再生しているかどうかを判断することはできない。
「資金の流れは依然として森林目標と大きく乖離」
・有害な補助金が環境に優しい補助金を200倍以上、上回っている。
・森林国と地域関係者への資金の流れは、2030年の目標達成に必要な水準をはるかに下回っている。
「企業および金融部門の公約の履行は遅れている」
そのうえ、透明性は依然として一貫していない。
「いい兆候が見えていない」
2030年までの中間点にあたる現在において、本当なら世界の森林破壊は急激に減少していなければならないのに、世界の森林破壊の曲線は未だに変化を見せていない。
..と現状はなかなか厳しいようです。
なお、こちらのサイトでは評価の中でも使われている世界各地のデータが見られる「ダッシュボード」が用意されています。気になる地域の状況を確認してみるのもいいですね。
https://dashboard.forestdeclaration.org/
さて、地球環境戦略研究機関(IGES)の主催で、この森林宣言評価の政策決定者向け要約(日本語版)について解説ウェビナーが開催されるのでご案内します。
名称: 「IGES日本語で読むシリーズ」解説ウェビナー第9回「政策決定者向け要約:2025年森林宣言評価」
日時: 2025年1月20日(火)15:00~16:00
会場: オンライン
主催: 公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
第9回となる今回のウェビナーでは、「政策決定者向け要約:2025年森林宣言評価」を取り上げます。本報告書は、森林と土地利用に関するグラスゴー首脳宣言(UNFCCC COP26)で掲げられた「2030年までに森林減少・劣化を食い止め、回復させる」という目標に対する進捗状況を評価したもので、国際的なシンクタンク・NGOのネットワークである「森林宣言アセスメントパートナーズ」が取りまとめています。
報告書では、グローバルレベルで森林が依然として甚大なプレッシャーにさらされている現状や、収奪的な生産モデル、過剰な消費、脆弱なガバナンス、そして根強い権力の不均衡が、森林減少・劣化を継続的に助長していることが指摘されています。また、持続可能な開発との関わり、森林関連資金の拡大の必要性、森林ガバナンスの強化に関する示唆など、多岐にわたる提言が盛り込まれています。
これらの内容は、カーボンニュートラルやネイチャーポジティブの実現に不可欠な世界の森林保全に関する重要な知見を提供するものです。ウェビナーでは、翻訳に携わった研究員による報告書の解説に加え、森林保全に関する国際的な動向についても紹介する予定です。
○ イントロダクション
山ノ下 麻木乃 生物多様性と生態系サービスユニット リサーチディレクター
○ 報告書の内容紹介
藤崎 泰治 生物多様性と生態系サービスユニット リサーチマネージャー
・ディスカッション(本報告書が日本に与える意味合い)
・質疑応答
詳しくはこちらをご覧ください。
