数ヶ月熱を保持できる「砂電池」

「え、ソープストーンって…、あのソープストーンのことか?」

東アフリカのお土産物屋さんに行くと必ずあるのがソープストーンの彫刻品です。石鹸のよう感触で比較的柔らかいため、彫刻品の素材として使われています。それ以外の場面であまり聞いたことがなかったので、フィンランドの企業が開発した「砂電池」にソープストーンが利用されていると聞いた時に「え?」と思った次第です。

今まで知らなかったのですが、ソープストーンは数千年前から彫刻材として世界中で利用されてきたのだそうです。高い耐熱性と蓄熱性を持ち、調理器具にも使われていました。他にもお守り、印章、鉛筆、聖堂建築など用途は多岐にわたります。リオデジャネイロの街を見下ろしているあの巨大なキリスト像の外層にも使われています。加工のしやすさから、近代では暖炉の部材や絶縁体にも活用されています。

フィンランドのスタートアップ企業、ポーラー・ナイト・エナジーが開発した「砂電池」は、再生可能エネルギーの貯蔵課題を解決する画期的な熱エネルギー貯蔵システムです。

What Is a Sand Battery? Polar Night Energy’s Sand-based Thermal Energy Storage Explained
(砂電池とは?ポーラーナイトエナジーの砂型熱エネルギー貯蔵について解説) (Polar Night Energy, 2023年10月24日)

創業者であるトミ・エロネン氏とマルク・ユロネン氏の二人はタンペレ工科大学の同級生で、学生時代に「太陽光発電だけで、エンジニアのための自給自足でコスト効率の高い’ヒッピー・コミューン’を構築できるか?」という問いを立てたことが開発のきっかけとなりました。これが後の会社設立へ発展し、2022年には世界で初めて商業ベースの蓄熱システムを稼働させました。

砂電池の仕組みは非常にシンプル。
- 蓄熱:太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる安価な余剰電力を使い、ヒーターで空気を約600°Cまで加熱。

- 貯蔵:加熱された熱風を、断熱材で覆われた巨大な鋼鉄製タンク内の砂の中に張り巡らされたパイプに循環させ、砂を加熱して熱を蓄える。砂は熱をなんと数ヶ月間も保持することが可能。

- 放熱:エネルギーが必要な際、タンク内に冷たい空気を送り込んで砂から熱を吸収させ、熱交換器を通じて温水、蒸気、または熱風として取り出し、地域暖房や工場などに供給。

といった具合です。そしてこの砂電池、なかなか優れています。

- 低コストと持続可能性:蓄熱材には、建設資材に向かない低品質の砂や、暖炉製造時の副産物であるソープストーンなど、安価でどこにでもある材料を使用する。

- 高い貯蔵密度と効率:砂は水のように沸点に制限されないため高温での蓄熱が可能で、水と比較して約4倍の貯蔵容量を持つ。熱として直接利用する場合、システム全体の往復効率は90%以上に達する。

- 環境負荷の低減:既存の地域暖房網に容易に統合でき、化石燃料やバイオマスの燃焼を代替することで、二酸化炭素排出量を大幅に削減。

現在は熱供給が中心ですが、2026年までに貯蔵した熱を再び電気に戻す「P2H2P(Power-to-Heat-to-Power)」技術の製品化も予定されており、さらなる普及が期待されています。

さて、国土交通省と経済産業省の主催でSAFに関するシンポジウムが開催されるのでご案内します。

名称: “空のカーボンニュートラル”シンポジウム vol.4 
   ~地域と描くSAF(持続可能な航空燃料)と航空脱炭素化の未来図~

日時: 2026年2月24日(火)13:00~17:00 
会場: 飯野ビルディング(千代田区)/オンライン 
主催: 国土交通省、経済産業省 資源エネルギー庁
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

○ 基調講演
「日本におけるSAFバリューチェーン構築の意義~環境価値と地産地消による価値を探る~」
株式会社みずほ銀行 シニアアナリスト 豊川 晃範 氏

○ 議題1「 国産SAFの実用化及びSAFの地産地消に向けた取組」
「国産SAF実用化への課題と今後の展望」
コスモ石油マーケティング株式会社
「国産SAFの普及に向けた供給体制の構築
 ~国産SAFの効率的な供給の実現に向けた実証~」
ENEOS株式会社

○ 議題2「SAFの利用促進に向けた地域連携の取組」
「SAFの利用促進と認知拡大に向けた東京都の取組」
東京都
「自治体と連携した国産SAFサプライチェーン構築の取組」
中部国際空港株式会社
「廃食用油の回収及びSAFの普及に関する取組」
吹田市

○ 議題3「 SAFの環境価値の活用に向けた取組」
「Scope3削減と企業価値:
航空輸送の『環境価値』を活かすカーボンインセッティングの重要性」
株式会社NTTデータ
「SAFを活用したScope3削減の取組について」
NIPPON EXPRESS ホールディングス株式会社

○ パネルディスカッション
「SAFの将来ビジョンと地域連携について」
コーディネーター:
山内 弘隆 氏 武蔵野大学 経営学部 特任教授
一橋大学 名誉教授

パネリスト:
日本航空株式会社/日揮ホールディングス株式会社/
吹田市/小田急電鉄株式会社/株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー

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