高度666kmから10kmへ 解像度「爆上がり」

「航空機は二酸化炭素を大量に排出する」などと言われることもありますが、空を飛んでいるからこそできる貢献もあります。ANAが宇宙航空研究開発機構(JAXA)とタッグを組んで、ユニークな挑戦を続けています。私たちが乗る定期便の旅客機を「地球を見守る観測拠点」に変えてしまおうというプロジェクトです。

世界初「リモートセンシング技術を活用した定期旅客便による大気成分等の自動観測」を開始(ANAホールディングス、2025年12月16日)

2020年から始まったこの共同研究では、JAXAの精密な観測機器を、観測のたびに旅客機の座席に積み込んで運んでいたそうです。

このGOBLEU(ゴーブルー)というプロジェクトのサイトに観測風景の写真があります。本当に機材を座席に乗せて、窓越しに観測していたんですね。こんな風景、ちょっと生で見てみたかったです。これからは、ボーイング737型機を改修して、一般乗客から見えない場所に装置を設置して自動で観測するようになるそうです。定期旅客便として初の試みです。

記事の見出しを見た時には「人工衛星で観測できるだろうに、なぜわざわざ飛行機を使うのかな?」と思ったのですが、読み進めていくうちになるほどと納得しました。

JAXAは2009年から「いぶき」(GOSAT)という人工衛星で、宇宙から地球全体の温室効果ガスを観測してきました。広範囲の観測ができるのは良いのですが、しかし飛行高度が666kmと高いため観測点1点の大きさが直径10km程度になり、広範囲での排出量の推定はできるのですが、発生源を特定するところまではいきません。

一方、旅客機が飛ぶのは高度10km。旅客機による観測の優位性は、解像度が高いことと飛行頻度が多いことにあります。「いぶき」などの原理を応用し、幅50km程度の面を観測でき、機体に近い場所であれば、わずか100m単位という驚くべき細かさで測定できます。解像度が「爆上がり」と言って良いですよね。「どの道路で交通量が多くてCO2が出ているのか」「どの工場地帯の排出量が多いのか」といった、都市ごとの細かい排出源を評価できるようになります。

「いぶき」から得られるデータと旅客機による観測データを比較したり組み合わせることでより高い知見を得られるそうです。人間活動から出るCO2の7割から8割は、こうした都市域に集中していると考えられていますから、パリ協定で決めた「気温上昇を抑える」という目標を達成するための重要なデータにもなりますね。

航空業界の持つ運航ネットワークという最大の資産から、地球を守るためのデータを得る。面白い取り組みですね。

さて、環境省の主催で、脱炭素経営に関するフォーラムが開催されるのでご案内します。

名称: 脱炭素経営フォーラム(2025年度)
日時: 2026年3月5日(木)13:30~17:20 
会場: 大手町三井ホール(千代田区)/オンライン 
主催: 環境省
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

本フォーラムは、今年度環境省が実施した、『バリューチェーン全体での脱炭素化支援事業』、『地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築事業』、『製品・サービスのライフサイクルを通じた温室効果ガス排出量算定・表示推進事業(業界団体・企業群支援/地域人材育成支援)』の参加企業・団体等による成果報告を通じて、様々な規模・業界の企業等がバリューチェーン全体での脱炭素化の動きや具体的な取組を理解し、自社の排出削減の取組に役立てていただくことを目的としています。

○ 環境省 開会の挨拶
○ 基調講演
脱炭素にまつわる最新動向について紹介
ニッセイアセットマネジメント株式会社 執行役員 運用本部副本部長チーフ・コーポレートガバナンス・オフィサー
井口 譲二 氏

○ セッション1「バリューチェーン全体での脱炭素化支援事業」
<中小企業を含めたバリューチェーン全体での脱炭素化を進めるために、サプライヤーエンゲージメントを代表とする取引先企業に対する働きかけの取組を支援するモデル事業参加企業の取組を紹介>
株式会社アクタス、SMC 株式会社、三起商行株式会社

<統一的な Scope3 算定ルールやエンゲージメント方針等の作成に関するモデル事業参加業界・団体の取組を紹介>
全国農業協同組合連合会 他4社、一般社団法人日本衛生材料工業連合会 他紙おむつ会員企業各社、日本製薬工業協会 他13社
・パネルディスカッション

○ セッション2「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築事業」
<地域金融機関・商工会議所等の経済団体等と地方公共団体が連携し、地域内中小企業の脱炭素経営普及を目指す支援体制構築に向けたモデル事業参加団体の取組を紹介>
今治市、内子町、八幡浜市
・パネルディスカッション

○ セッション3「製品・サービスのライフサイクルを通じた温室効果ガス排出量算定・表示推進事業」
<CFP 算定や表示ルール策定に関するモデル事業参加業界・団体の取組を紹介>
TOPPAN株式会社 他3社、2団体、日本化粧品工業会 他8社
<CFP の表示実証に関する取組を紹介>
株式会社 I-ne
<CFP の算定・表示に係る人材育成に関する団体の取組を紹介>
しずおかカーボンニュートラル金融コンソーシアム、SAGA COLLECTIVE 協同組合
・経済産業省 施策の紹介
・農林水産省 施策の紹介
・国土交通省 施策の紹介

○ 環境省 閉会の挨拶

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