気候変動で地球の自転が変わる

先日行われたミラノ・コルティナ冬季オリンピックでは、日本代表の選手達が大活躍してメダル獲得数が過去最多となりました。スポーツっていいですよね。

フィギュアスケートでスピンをするとき、手を横方向に広げると回転速度が遅くなり、逆に体の方に寄せると急に回転が早くなりますよね。子供の頃、あれは不思議でたまりませんでした。「え!なんで?」と。あとになってこれは「慣性モーメント(回転のしにくさ)」のせいだと知りました。体の回転軸から遠い位置に質量(腕)が移動すると、慣性モーメントが大きくなって回転速度が落ちる。逆に、手を縮めると質量が回転軸にギュッと集まるため、慣性モーメントが小さくなり回転が早くなる、ということなんですね。

地球の自転速度もまた、同じ原理で変化しています。温暖化によってグリーンランドや南極、あるいは高い山の氷が溶け出し、その水が赤道付近へと流れ込むという現象が起こっていますが、このせいで地球の回転軸から遠い場所に質量(水)が移動して地球全体の慣性モーメントが大きくなり、その結果として回転が遅くなります。

地球の自転に「月の引力」が影響していることはかなり前から知られていました。NASAなどの資料によると、数千年前からの日食や月食の記録を分析した結果、地球の自転は非常に長いスパンで見ると少しずつ遅くなっているそうです。これを「潮汐摩擦(ちょうせきまさつ)」と呼び、月の引力が海を引っ張ることでブレーキがかかり、100年ごとに約2.4ミリ秒(1ミリ秒は1000分の1秒)ずつ1日が長くなってきたのです。

20年ほど前ですが、2003年3月4日には、NASAの資金援助を受けた研究グループが「Changes in the Earth’s Rotation are in the Wind(地球の自転の変化は風の中にある)」という興味深い成果を発表しました。この研究では、風の動きや気圧の変化、さらにはエルニーニョ現象といった「大気の動き」が、地球の自転速度や軸の揺れに強い影響を与えていることを明らかにしました。

そして、より深刻な状況を示したのが2024年の研究です。同年7月15日、ETHチューリッヒ(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)の研究チームが、「The increasingly dominant role of climate change on length of day variations(1日の長さの変化における気候変動のますます支配的な役割)」という論文を発表しました。

この研究は、1900年から現在までの膨大なデータを分析し、2000年以降、人間活動による温暖化で氷が溶けるペースが加速したことで、自転を遅らせる力が急激に強まったことを指摘しました。2000年から2018年の間、温暖化の影響だけで1日の長さは100年あたり1.33ミリ秒のペースで伸びており、これは20世紀のどの時期よりも速い、「前例のない変化」であることが判明したのです。

さらに、同チームは「Contributions of core, mantle and climatological processes to Earth’s polar motion(地球の極運動に対する核、マントル、および気候プロセスの寄与)」という研究も発表しました。ここでは、地表の氷が溶けることによる質量の移動が、自転速度だけでなく、地球の回転軸そのものを120年間で約10メートルも移動させていることを突き止めました。私たちの活動が、地球という惑星の「回り方」そのものを根本から変えてしまっているという事実が浮かび上がってきました。

さて、八千代エンジニヤリングの主催でTNFDに関するセミナーが開催されるのでご案内します。

名称: オンラインセミナー「【TNFD開示の「次の一手」に悩む企業必見】ネイチャーポジティブ戦略に役立つLCA活用術」
日時: 2026年3月26日(木)11:00~11:55 
会場: オンライン 
主催: 八千代エンジニヤリング株式会社
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

本セミナーではネイチャーポジティブに関する戦略を検討する際に有効な定量化手段の1つとして、ライフルサイクルアセスメント(LCA)を紹介します。LCAにより、エネルギー消費量や水の消費量、生物多様性への影響などの観点からバリューチェーンのなかでもっとも影響が大きいプロセスや材料を特定することが可能です。

セミナーではLCAの概要とTNFD検討を含むネイチャーポジティブ戦略へのLCA活用方法や活用事例について解説いたします。

◯ 主催者挨拶
八千代エンジニヤリング株式会社 本田 雄暉

◯ 講演「ネイチャーポジティブ戦略に役立つLCA活用術」
八千代エンジニヤリング株式会社 樋口 桃子 

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