「マハトマ・ガンディー」と聞くと、白い布を纏って草履を履きさっそうと歩く姿を思い浮かべます。その質素な姿の通り、彼は個人的な所有物をほとんど持っていなかったそうですが、その数少ない所有物のひとつに携帯用トイレがありました。インドでは当時トイレの普及が遅れていて屋外排泄が当たり前の状況で、「そのせいで衛生環境が悪くなりインド国民の平均寿命が短くなっている」とガンディーは考えました。そこで、人々に衛生環境の大切さを啓発する意図もあって、外出する時には側近に携帯用トイレを持たせていたと言われています。
昔のことですが、インドに行ったとき、都市部でもウシがそこかしこでたくさん歩いていて、あちこちに牛のフンが落ちていたのは強烈な印象として覚えています。
インド・グジャラト州の州都「ガンディーナガル」は「ガンディーの町」という意味です。ここにインド政府から国家重要大学に指定されているインド工科大学ガンディーナガル校(IITGN, Indian Institute of Technology Gandhinagar)がありますが、この大学の研究チームが牛のフンを利用したCO2吸着材を開発しました。
Towards climate change mitigation: Using cow dung for sustainable carbon dioxide
capture(気候変動緩和に向けて:牛フンを用いた持続可能な二酸化炭素回収)(EurekAlert! 2026年3月17日)
彼らが開発した、牛のフンを利用した新しいCO2回収技術は、従来の方法に比べると主に以下のような点で優れています。
1. 少ないエネルギー消費
新しい素材(窒素ドープ多孔質炭素、NDPC)は30℃という低温でCO2を吸着できるため、エネルギー消費が少ない。
2. 環境負荷の低減
・活性化剤として、腐食性が低く環境に優しい重炭酸カリウムを使用。
・「ドライ合成」と呼ばれるシンプルな工程を採用しているため、製造過程で発生する廃水が極めて少ない。
3. 簡素な製造プロセスと低コスト
・「一段階の熱分解(シングルステップ・パイロリシス)」というシンプルな工程で製造できるため、化学薬品の使用量や加工コストを抑えられる。
・牛のフンは安価で大量に入手可能。
4. 優れた吸着性能と安定性
・高い吸着能: 窒素を炭素構造に取り込む(ドープする)ことで、CO2分子を
引き寄せる力が強化されている。
・巨大な表面積: 開発された材料(NDPC)は、1gあたり1,153平方メートルという広大な表面積を持っている。これは賦活処理をしない炭素材料よりも58%高い性能を示す。
・再利用性: 10回の吸着・脱離サイクルを繰り返しても、初期の回収能力を維持できる優れた安定性がある。
排泄物の処理を大切に考えていたガンディーの町で生まれたこの技術。持続可能な社会づくりに大きく貢献しそうですね。
さて気候ネットワークの主催で書籍「気候危機と石炭火力Q&A」の出版記念セミナーが開催されるのでご案内します。
名称: 「気候危機と石炭火力Q&A」出版記念セミナーゲストと語る日本のエネルギーと未来 第2回
日時: 2026年4月8日(水)18:30~19:15
会場: オンライン
主催: 気候ネットワーク
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
このセミナーでは、新刊『気候危機と石炭火力Q&A』の出版を記念して、ジャーナリストや研究者など、多彩なゲストをお迎えして、日本のエネルギー政策のこれからについて、ライブ対話で掘り下げていきます。本をお持ちの方はもちろん、本をお持ちでない方もお聞きいただける内容になっておりますので、ご関心のある方はどなたでもご参加いただけます。
◯ 書籍内容のご紹介
気候ネットワークスタッフより
◯ クロストーク
大島 堅一さん(龍谷大学・教授)
桃井 貴子(気候ネットワーク)
聞き手:櫻田 彩子(エコアナウンサー/気候ネットワーク 理事)
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