次のゴールドラッシュ おいおい

「次のゴールドラッシュ」(The next gold rush)という見出しの記事がありました。おー、なんか景気のいい話があるなぁ!と思ったのですが、その続きを見て「むむむ…」となりました。

‘The next gold rush’: President Trump unlocks access to critical deep seabed minerals(「次のゴールドラッシュ」:トランプ大統領が重要な深海底鉱物へのアクセスを解放、アメリカ海洋大気庁(NOAA)、2025年4月25日)

4月24日にトランプ大統領が、沖合の重要鉱物や資源を特定し回収する枠組みを確立するための大統領令に署名しました。アメリカの領海外における探査や採掘を進められるものです。

NOAAの主席副次官補がコメントを出しています。「米国は深海鉱物採掘で世界をリードします。NOAAはその先頭に立ち、連邦政府機関や民間企業と連携し、海底における重要鉱物の発見と採取を支援していきます」と。

これだけ読むと「リード」「連携」「支援」という良い響きを持つ言葉が並んでいますが、実のところ、海底の鉱物採掘については以前から深海の生態系への悪影響が懸念されていて、先日フランスのニースで行われた国連海洋会議でもグテレス国連事務総長が「深海を無法地帯にしてはならない」と警鐘を鳴らしました。

国際海域における海底の鉱物資源については、国連海洋法条約に基づいて1994年に設立された国際海底機構(International Seabed Authority, ISA)が管理しています。しかし、なんとアメリカはこの条約の締約国ではありません。世界で一番強大で影響力のある国がこの条約に縛られておらず、もう何十年も前から「あ、皆さんはその決まりを守るそうで、ご苦労様です。まあ、ウチは関係ないんで」という状況だったようです。うーん、これってどうなってしまうんでしょうかね….。

国家間の競争、資源調達・製造業の強化。国家の生き残り戦略の前では、環境問題も霞んでしまうようですが、長期的にこれがどんな影響をもたらすのか。それが見えるようになるまでに、また何十年もかかるのでしょうか…。

さて、地球環境戦略研究機関(IGES)の主催で気候変動適応の研究成果についてウェビナーが開催されるのでご案内します。

名称: 気候変動ウェビナーシリーズ 【特別編】
    気候変動適応の研究成果は、持続可能な社会をどう支えるか? ~行政・企業・地域社会が今これからできること~

日時: 2025年6月27日(金)14:00~15:30 
会場: オンライン 
主催: 公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

本ウェビナーでは、〈特別編〉として、IGESの連携機関による重要な研究成果をもとに、IGESならではの政策的・実践的な視点を加えながら、その意義や活用の可能性について共有します。環境研究総合推進費「気候変動影響予測・適応評価の総合的研究(S-18)(2020~2024年年度)」を主導された三村信男 特命教授(茨城大学/IGES評議員)をお迎えし、研究成果の社会的意義や今後の展望についてお話しいただきます。また、三村特命教授およびプロジェクトメンバーの方とのパネルディスカッションを通じて、行政・企業・地域における適応策の実装と加速に向けた具体的な方策を探ります。

司会進行: 水野 理 IGES 適応と水環境 プログラムディレクター  

【S-18プロジェクト成果の発表】
三村 信男 茨城大学 地球・地域環境共創機構 特命教授・IGES評議員  

【パネルディスカッション】
モデレータ: 水野 理 IGES 適応と水環境 プログラムディレクター  

パネラー:
・三村 信男 茨城大学 地球・地域環境共創機構 特命教授・IGES評議員  
・真砂 佳史 国立環境研究所 気候変動適応センター 気候変動適応戦略研究室 室長  

○セクション1: 行政(国・都道府県・基礎自治体)での活用とメッセージ  

○セクション2: 企業(中小企業等を含む)での活用とメッセージ  

○セクション3: 地域社会(市民)における活用とメッセージ  

詳しくはこちらをご覧ください。