“日傘”で温暖化を防ぐ

18世紀後半のフランスにジョゼフ=ルイ・ラグランジュという科学者がいました。マリー・アントワネットの数学教師を務めたこともあり、フランス革命後にメートル法の制定にも取り組みました。天文学にも功績があり、「ラグランジュ点」の発見に貢献しました。

これは、「二つの天体から見て第三の天体が安定して滞在し得る位置」のことで、二つの天体から受ける重力と遠心力の釣り合いがとれていて、静止状態になるところです。

地球と太陽の間のラグランジュ点に巨大な傘を置いて、太陽光をある程度遮ったら温暖化を抑制できるのではないか、という考えがあります。1989年ごろにはすでにそのようなアイディアがあったようですが、現在も研究が続けられています。最近では今月4日にひとつ論文が発表されています。

Planetary sunshade for solar geoengineering: Preliminary design of a precursor system and mission(太陽気候工学のための惑星用サンシェード:先行システムの予備設計とミッション)(Acta Astronutica, 2025年6月4日)

1,000万ドルほどの費用を想定した技術検証プロジェクトで、81平方メートルのソーラーセイルを備えたキューブサットを飛ばして推進や姿勢制御、素材の耐久力などに関する試験を行うことが提案されています。

この略図を見ると、なんとなく概略が掴めます。

Acta Astronautica Volume 235, October 2025, Pages 452-462 (CC BY-NC-ND 4.0)

それにしても、スケールの大きな話です。地球全体に影響を与える話ですから、実現しそうになったらなったで、各国の国益をめぐってまたきっとややこしい話になるんだろうな、なんて思ったりもしますが、本当にすごいことを考える人たちがいるもんですね。どうなっていくのか、楽しみですね。

さて、FC大阪とWWFジャパンのコラボで脱炭素に関するイベントが開催されるのでご案内します。

名称: 気候変動×サッカー「コラボで脱炭素にゴール!サッカークラブと企業の挑戦!~社会で果たすべき役割とは」
日時: 2025年6月30日(月)16:00~18:30 
会場: 東大阪市花園ラグビー場/オンライン 
共催: FC大阪、WWFジャパン
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

本イベントでは、地球温暖化(気候変動)の現状と日本企業の対策状況を解説した後、 Jリーグが積極的に推進する気候アクションや Jリーグに加盟するFC大阪が地域企業と共創して取り組む気候変動対策を紹介。

イベント後半では、「いつまでもサッカーを楽しめる未来」に向けて、パネルディスカッション形式で、企業と市民が協力して進める温暖化対策と地域企業の持続的な発展の両立を考えます。

「気候変動の現在地と日本企業の取り組み紹介(仮)」
WWFジャパン 羽賀 秋彦

「Jリーグ気候アクションロードマップ(仮)」
Jリーグ サステナビリティ部 部長 入江 知子

「FC大阪で取り組む共創事業~ACT NOW~」
FC大阪 代表取締役社長 近藤 祐輔

座談会「いつまでもサッカーを楽しめる未来に向かって
~企業と市民が気候アクションのために踏み出す一歩」
FC大阪 近藤 祐輔、 WWFジャパン 羽賀 秋彦、 Jリーグ 入江 知子

詳しくはこちらをご覧ください。