「厄介払い」が気候変動の金融リスク高めるかも

最近、”Good riddance”という二つの単語がなかなかのインパクトを持って頭に刻み込まれました。riddanceは”(厄介なことから)免れること”とか”除去”という意味で、”good riddance”と言うと「ちょうどいい厄介払いができてせいせいしたわ〜」という表現になります。

アメリカの連邦準備理事会(FRB)と連邦預金保険公社(FDIC)が10月16日に「気候関連の金融リスクを管理するための共同原則は必要ない」という共同声明を出しました。これは、気候変動によるリスク管理や脱炭素社会に向けた移行のためにバイデン政権下の2023年に打ち出されていた原則でしたが、現トランプ政権になって大きな変化が起きています。

FRB理事の一人、クリストファー・ウォーラー氏は2020年に第1次トランプ政権下で理事に就任した人物ですが、彼がこの共同原則の撤回について賛成を表明した時のコメントがさきほどの”Good riddance” です。たった2語のぶっきらぼうなコメントで、なかなか異例のようです。

ただ、7人の理事のうち5人が原則の撤回に賛成したものの、2人は反対しました。「原則を撤回することは近視眼的だ。気候関連の金融リスクが高まる中、金融システムのリスクを高めてしまうことになる」と警鐘を鳴らす理事もいました。さて、長期的にはどうなっていくのでしょうか…。

トランプ大統領は気候変動を「史上最大の詐欺」(the greatest con job ever)と呼ぶほどですから、強烈です。アメリカの政策転換は世界的にも大きな影響がありますから、これからも目が離せませんね…。

さて、気候変動イニシアティブの主催で「気候変動アクション日本サミット2025」が開催されるのでご案内します。

名称: 気候変動アクション日本サミット2025
日時: 2025年11月7日14:00〜18:00 
会場: イイノホール(千代田区)/オンライン 
主催: 気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative; JCI)
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

○ 開会あいさつ
末吉 竹二郎 気候変動イニシアティブ共同代表

○ 基調講演:気候変動のビジネスリスク
シェリー・マデーラ CDP CEO チーフエグゼクティブオフィサー

【パネルディスカッション「2030年までの5年」】
○ セッション1「気候変動はどれほど深刻なのか」
・岩永 泰典 アムンディ・ジャパン株式会社 チーフ・レスポンシブル・インベストメント・オフィサー
・岡部 孝典 日本農業新聞 みどりGXラボ事務局長
・斎藤 佑樹 元プロ野球選手 / 株式会社斎藤佑樹 代表取締役
・森 信人 京都大学防災研究所 教授 / 横浜国立大学 教授

モデレーター:
平神 友美 自然エネルギー財団 連携コーディネーター

○ セッション2「逆風下の再生可能エネルギー調達:先進企業の挑戦と展望」
基調報告「再生可能エネルギーをめぐる最新動向」
石田 雅也 自然エネルギー財団 研究局長

JCLPによるパネルディスカッション:
・阿部 哲嗣 株式会社リコー ESG戦略部 ESGセンター 所長
・小谷 いづみ クライメート・グループ 上級政策オフィサー
・二瓶 雅之 富士通株式会社 総務本部 環境統括部 シニアマネージャー
・真野 秀太 株式会社UPDATER 上席執行役員 SX事業推進本部 副本部長

モデレーター:
松尾 雄介 一般社団法人日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)事務局長

○ セッション3「世界、そして日本が進むべき脱炭素の道筋」
・今井 雅則 戸田建設株式会社 代表取締役会長 / 
       日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)代表理事
・シェリー・マデーラ CDP CEO チーフエグゼクティブオフィサー
・マイク・マッテラ アカマイ・テクノロジーズ コーポレート・サステナビリティ部長 
           兼 ESG担当責任者
・リッチー・メルジアン クリーン・エネルギー・インベスター・グループ 最高経営責任者

モデレーター:
国谷 裕子 ジャーナリスト

○ 閉会挨拶
加藤 茂夫 気候変動イニシアティブ共同代表

司会・進行
田中 健 WWFジャパン 気候・エネルギーグループオフィサー(非国家アクター連携担当)

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