4月1日に自転車の「青切符」が始まりました。今日、そのことを知らぬまま、一時停止をせずに罰金を課された人の中には、「え?エイプリルフール?」と思った人もいたかもしれません。一時停止を無視したら5,000円。なかなかの金額ですが、全ては安全のためなので仕方ありませんよね。
気候変動でも「罰金」(ペナルティ)があるようです。気温上昇によって大気汚染が悪化することを気候ペナルティ(Climate Penalty、クライメートペナルティ)と呼んでいます。私たちの目には見えないところで、気候変動によって空気の質が大きく変わろうとしています。このまま地球温暖化が進むと、アメリカでは今世紀の終わりまでに、空気の汚れを知らせる「警戒アラート」が出る日が、今の約2倍に増える可能性がある、という研究結果が発表されました。
Air Quality Alerts, Health Impacts, and Adaptation Implications Under Varying Climate Policy(気候変動政策の変動下における大気質警報、健康への影響、および適応策の意義)(2026年3月22日, ACS publications )
地球の気温が上がると、干ばつや熱波、そして大規模な森林火災が起きやすくなります。これらが引き金となって、空気中のオゾンやPM2.5が増えてしまうのです。オゾンは、成層圏では地球を守ってくれますが、対流圏で増えすぎると、喉や目を痛める原因になります。PM2.5は吸い込むと肺の奥まで入り込んでしまいます。
つまり、私たちがどんなに排気ガスを減らす努力をしても、温暖化そのものが空気を汚してしまう。これが、まるで自然から「罰金」を科されているような状態なのです。
空気質指数(AQI, Air Quality Index)という「空気の信号機」のような指標があります。この信号が「オレンジ(敏感なグループには健康に良くない)」に変わったとき、私たちにできる最も身近な対策は、まず「外に出る時間を減らす」こと。
「ただ家にいるだけで効果があるの?」と思うかもしれませんが、結構効果があるそうです。外のアラートに従って家の中で過ごすだけで、外から入ってくる汚れに触れる機会を、オゾンなら約30%、PM2.5なら約6%減らすことができます。
特に、65歳以上の高齢者にとって、この「家で過ごす」という選択は重要です。高齢者は、若者に比べて空気の汚れによる健康への影響をはるかに受けやすいからです。高齢者がアラートに従って外出を控えることで得られる健康上のメリットは、18歳~35歳の年齢層と比べて、平均で45倍以上も高いことが分かりました。
それにしても、「家にいれば解決する」なんて、まったくうんざりする解決法ですよね…。
研究では、世界全体で強力な温暖化対策(気温上昇を2度や2.5度に抑える目標)をとれば、このアラートが出る日数を大幅に減らせることも示されています。ただ、気候変動の影響をゼロにはできないので、これからは「温暖化を止めるための大きな努力」と同時に、「汚れた空気から身を守るための工夫」もますます大切になってきそうですね。
さて、慶應義塾大学と日本規格協会の主催で生物多様性と気候変動に関する講演会が開催されるのでご案内します。
名称: 「生物多様性保全、その動向と気候変動対策とのシナジー」
日時: 2026年4月10日(金)13:30~17:00
会場: 日本規格協会(港区)/オンライン
主催: 慶應義塾大学Keio STAR/サステナブルファイナンス研究センター、
一般財団法人日本規格協会
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
○ 開会挨拶
日本規格協会(朝日弘理事長)、経団連自然保護協議会(酒向里枝事務局長)
○ 報告
「アカデミアと企業関係者による生物多様性勉強会で議論された論点 気候変動対策と生物多様性保全とのシナジーの重要性について」
森田香菜子(慶應義塾大学経済研究所サステナブルファイナンス研究センター長)
○ 講演
「ネイチャーポジティブ経済への移行に向けた取組と気候変動とのシナジー」
永田綾(環境省自然環境局生物多様性主流化室長)
「IPBESビジネス・生物多様性評価が示す企業活動の論点と方向性―国際動向と地域の視点」
香坂玲(東京大学農学生命科学研究科教授)
○ 企業講演
「ネイチャーポジティブに向けた機関投資家の役割」
講演者:松山晃(日本生命保険相互会社 責任投融資推進室担当課長)
「環境経営情報開示:シナジー/トレードオフとネイチャーポジティブ評価」
講演者:佐々木緑(大成建設サステナビリティ経営推進本部理事副本部長)
○ パネルディスカッション
「企業活動における生物多様性の評価における重要なルール」
・藤田香(東北大学グリーン未来創造機構教授兼日経BP ESGフェロー)
・香坂玲(東京大学農学生命科学研究科教授)
松山晃(日本生命保険相互会社 責任投融資推進室担当課長)
・佐々木緑(大成建設サステナビリティ経営推進本部理事副本部長)
○ 閉会挨拶
慶應義塾大学(蟹江憲史Keio STAR所長)
詳しくはこちらをご覧ください。
