大阪・関西万博2025。ゼリ・ジャパンのパビリオンでは「海の蘇生」をテーマにした展示を行いました。その中で上映していた映像作品「BLUE OCEAN DOME」が今、日本科学未来館のドームシアターで上映されています。(7月18日~9月30日)
日本科学未来館:BLUE OCEAN DOME
海を彩る豊かな生態系を圧倒的な映像で描きつつ、海洋プラスチックによる汚染の問題にも触れています。
すこし古い話ですが、2018年に発表されたハワイ大学の研究で、プラスチックが太陽光にさらされることでメタン(主要な温室効果ガス)とエチレン(大気中で反応して一酸化炭素を増加させる)を放出することが確認されました。
Production of methane and ethylene from plastic in the environment(環境中のプラスチックからのメタンおよびエチレンの生産)(PLOS One, 2018年8月1日)
この研究ではポリエチレン(LDPE、HDPE)、ポリカーボネート(PC)、アクリル(AC)、ポリプロピレン(PP)、PET、ポリスチレン(PS)といった主要なプラスチックを海水に浸し、太陽光にさらす実験も行いました。水中においては、陸上に比べて温度が高くなりにくかったり、微生物が付着することが多くて直接光にさらされにくくなるため、劣化は遅くなります。しかし環境中に存在する限り、ガスを出し続けることが示唆されました。
なかでも、世界で最も生産・廃棄されているポリマーである低密度ポリエチレン(LDPE)が、両方のガスの放出量が最も多いことが判明しました。これはレジ袋に使われる材料ですから、とても身近なものですよね。
ひとつ重要なことは、太陽光による劣化によってプラスチックの表面に亀裂や穴が生じると表面積が増えるため、化学反応が促進されていくことです。つまり、時間の経過とともにガスの放出量が増え続けるということです。
「なるほど、太陽光に反応して劣化するのなら、暗い海の底にあるプラスチックはガスを発生しないよね?」と思ってしまうところですが、残念なことに、そうはいかないようです。一度太陽光にさらされて分解のプロセスが始まると、どの程度太陽光を浴びたかにもよりますが、暗いところに移ってもガスの発生は続くことが示唆されています。たまりませんね。
そして最近、海の底に沈んだプラスチックをご丁寧にさらに細かくするヤツらがいることが分かりました。
貝が「歯」で削る海底のプラスチックごみ ―マイクロプラスチックの新たな発生源―(東京大学、2026年5月13日)
海底のある種の貝たちが「歯舌(しぜつ)」という歯で、海底のプラスチックゴミをガリガリ削り取っていることが分かったのです。「な、何してくれんの!?」と思うのですが、彼らは別にプラスチックに用事はなくて、その表面についている藻類を食べたくてガリガリやるんです。しかも、その時に削り取られたプラスチックの大きさはだいたい数十μm以下になり、あろうことか「極微小マイクロプラスチック」となって海洋中にばら撒かれる結果になります。
光を浴びて分解の始まったプラスチックが海底に落ちていき、貝に削られてさらに細かくなって海中に広がっていく…。たまりませんね。しかし、貝を責めるわけにもいきません。そもそもプラスチックが海に流れ込まないように私たちが努力していかなければならない、ということに尽きますね。
さて、地球環境戦略研究機関(IGES)の主催で開催されるISAP2026のテーマ別会合として、循環経済とメタン対策についてのオンラインイベントが開催されるのでご案内します。
名称: ISAP2026「廃棄物から気候変動の解決策へ:
南アジアおよび東南アジアにおける循環経済とメタン対策」
日時: 2026年8月7日(金)16:00~17:00
会場: オンライン
主催: 地球環境戦略研究機関(IGES)
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
ISAP2026(持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム)テーマ別会合
本セッションでは、南アジアおよび東南アジアの政策立案者、研究者、実務家に対して「公約から大規模な実施へいかに移行するか」を問います。循環経済に関する既存および形成途上の地域枠組み、実績のある低コスト技術、そしてパリ協定第6条や二国間クレジット制度(JCM)をはじめとする新たな気候資金メカニズムを踏まえ、地域レベルの先行的な取り組みから広域的な変革へとつながる、信頼性が高く横展開可能な道筋を提示します。その上で、応用可能な解決策、それを可能にする政策、および国境を越えた協力に焦点を当て、公正かつ包摂的な移行を加速させるうえでの政府、企業、地域社会が果たすべき役割について、将来を見据えた議論を行います。
パネル討論(英語のみ)
モデレーター:
林 美穂 IGES-CCET 持続可能な消費と生産 プログラムマネージャー
登壇者:
ジヒュン・カン グローバル・グリーン成長研究所(GGGI)アセアン メタンプログラムマネージャー
バオ ファン ンゴク IGES 持続可能な消費と生産 リサーチディレクター
パネリスト:
ノルブ・ワンチュク 南アジア協力環境計画(SACEP)理事長
ズルフィカー・アリ 南アジア地域協力連合 産業商工会議所(SAARC-CCI)事務局長
ドノヴァン・ストーリー 国連環境計画(UNEP)気候と大気浄化の国際パートナーシップ (CCAC)CCAC技術経済評価パネル(CCAC-TEAP)廃棄物・気候エキスパート
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