WMO報告書その2 水素にも気をつける必要あり

WMOの報告書、12ページなのになんだか中身が濃いです。もう少しだけ、WMOの報告書から新たな発見を抜き出します。

【脱炭素・エネルギー転換に伴う2つの微量ガスのリスク顕在化】

エネルギーシステムの脱炭素化・電力化に伴い、注意を払うべき2つの微量ガスの挙動が明らかになりました。

○ 六フッ化硫黄(SF6)の記録的増加
電力網の拡大に伴い、高圧開閉装置の絶縁・消弧媒体として使われる六フッ化硫黄(SF6)の大気中濃度は、1995年の約3.5 pptから2025年には12.24 pptへと約3.5倍に増加しました。特に2025年の年間増加量は0.48 pptとなり、観測史上最高を記録しました。

SF6はCO2の約24,300倍という極めて高い地球温暖化係数(100年間)を持ち、大気寿命は1,000年以上と非常に長いため、一度排出されると長期間にわたって大気中に残留します。電力網の拡大に伴う排出増加は、エネルギー転換がもたらす新たな気候リスクの一つとなっています。

○ 分子状水素の間接的温室効果
クリーンエネルギーとして利用拡大が期待される水素の大気中濃度は、2010年から2024年にかけて5.3%増加しました。

「水素が増えて、何か問題があるのかな…?」と思ったのですが、実は厄介な問題がありました。水素自体は温室効果ガスではありませんが、大気中でOHラジカル(ヒドロキシルラジカル)と反応し、その消費を増やします。OHラジカルはメタンを分解・除去する大気の重要な浄化物質でもあるため、水素が増えると、メタンの分解に使われるOHラジカルが相対的に減少し、結果的にメタンの大気寿命が延び、温暖化を促進する可能性があります。また、オゾンや成層圏の水蒸気にも影響を及ぼします。

2025年に発表された研究では、2010~2020年の水素濃度の増加が、全球平均気温を約0.02℃上昇させたと推定されています。また、将来の水素利用や漏洩率などを考慮したシナリオ分析では、水素濃度の変化による追加的な気温上昇は2100年までに0.01~0.05℃程度と推定されています。

そんなわけで、水素は脱炭素化に貢献する重要なエネルギーですが、その普及にあたっては、製造・輸送・貯蔵・利用の各段階で漏洩を抑制する対策が必要なんですね。いやもう、どこにどんな落とし穴が待っているのか、分かりませんね…。

さて、京都府や京都市などの主催で「KYOTO地球環境の殿堂」の表彰式とシンポジウムが開催されるのでご案内します。

名称: 第16回「KYOTO地球環境の殿堂」表彰式・国際シンポジウム
日時: 2026年11月21日(土)13:00~17:00 
会場: 国立京都国際会館(京都市) 
主催: 「KYOTO地球環境の殿堂」運営協議会、京都環境文化学術フォーラム
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 
【表彰式】
○ オープニングアトラクション
京都市少年合唱団(演奏曲:大丈夫(映画「天気の子」劇中歌)等)

○ 主催者挨拶・祝辞
京都府知事 西脇隆俊、京都市長 松井孝治 他

○ 殿堂入り者表彰式(認定書授与)
殿堂入り者:
・新海誠 氏 アニメーション監督(※当日は欠席)
・デブラ・ロバーツ 氏 クワズールー・ナタール大学生命科学部名誉教授/トゥウェンテ大学 地球観測科学・地理情報科学学部ウィレム・スヘルメルホーン記念マジョリティ・ワールド視点のオープンサイエンス教授 

授与者:「KYOTO地球環境の殿堂」運営協議会 会長 山極壽一 氏(総合地球環境学研究所 所長)

【国際シンポジウム】
○ 主催者挨拶(京都環境文化学術フォーラム 会長 立川康人 氏(京都大学 総長)
○ 殿堂入り者による記念講演:デブラ・ロバーツ 氏
○ 受賞者紹介 新海誠 氏(紹介動画を放映) 
○ 特別対談:石原良純 氏x山極壽一 氏 
○ 未来探究プロジェクト活動発表 
○ パネルディスカッション
登壇者:デブラ・ロバーツ 氏(第16回殿堂入り者)、WoWキツネザル 氏(環境系エンターテイーナー)、
未来探究プロジェクト参加高校生

詳しくはこちらをご覧ください。