”実質ゼロを達成するには原発が必要”なのか?

 気候危機の今、「実質ゼロ」を達成するには原子力発電所が必要だという考えが根強くあります。先日2021年4月28日に福井県の杉本知事が美浜原発3号機、高浜1、2号機の再稼働に同意した結果、全国で初めて40年を超える原発再稼働の手続きが完了しました。これで二酸化炭素が0.7%削減される計算になるそうです。

 いくら延長しても原発個々の運転期間は限られます。放射性廃棄物の処理・管理、運転中の安全性、廃炉など原発特有の課題がある中、既存の原発はさておき新設に多大な資源(二酸化炭素が排出されます)と時間がかかる原発が果たして2050年までの実質ゼロにどれほど貢献できるのでしょうか?

 イギリスで原子力発電に依存しないでネットゼロを目指す報告書を御紹介します。原発は発電コストが安価であるといわれていますが、イギリスでは、メガワット時(MWh)当たり大規模太陽光発電が約4100円(27ポンド)に対して原発は約18300円(121ポンド)と4倍以上も高いのだそうです*。

*均等化発電原価(運転期間中の想定発電量をもとに算出される発電量あたりのコスト:Levelized Cost of Electricity)