「人類の責任」 誰の責任か

11月にエジプトで、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP 27)が開催されます。これに向けて、10月3日、4日にコンゴ民主共和国で「プレCOP27」という会議が開かれ、世界各国から50人以上の閣僚などが参加しました。

COP27で議長を務めるエジプト外相サーメハ・シュクリー氏はCOP27の全体目標を”実施”とし、「気候変動に対処するために先進国が発展途上国に年間1000億ドルの資金援助を行う」という約束が守られていない現状を改めていくことを強調しました。

地球温暖化は人類が引き起したということに多くの人々が認識を共有しています。人類の責任である、と。しかし、では具体的に誰の責任なのか、という話になると、だんだん微妙な話になってきます。

発展途上国が先進国に責任を求める。これは国レベルの話ですが、企業レベルの話もあります。

2015年、ペルーの農民で山岳ガイドのサウル氏が、ドイツ最大の電力会社RWEに対して、ドイツの裁判所で民事訴訟を起こしました。地球温暖化による氷河融解で氷河湖が崩壊して破壊的な洪水を引き起こし、自分達が住む村が流されてしまう恐れがある。その対策費用の一部をRWEに請求しています。RWEはペルーに発電所を持っているわけではありません。しかし温暖化ガスを大量に排出して地球の大気に影響を与えてきたので、その排出量に応じた責任を負っているはずである、ということです。

ざっくり言うと、
・RWEは、温暖化ガス排出の0.47%に責任がある。
・したがって洪水対策にかかる費用の0.47%を負担する義務がある。
・その金額は約17,000ユーロであり、これを請求する。
ということです。

RWEは、2022年に風力発電や太陽光発電などのグリーンテクノロジーに対して500億ユーロ以上の投資を行うとしています。そのような超巨大企業にとって17,000ユーロは金額としては小さいものでしょう。しかしこの訴訟が意味するものは計り知れません。

動画: CGTN: German judges visit Peru glacial lake to examine a climate lawsuit.
    (ドイツの判事らがペルーの氷河湖を訪問、気候訴訟を調査。)

まだこの訴訟は継続しています。

いま世界で気候変動に関連した訴訟は年々増加しており、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの2022年6月30日の発表によると、現在の累積件数は2015年から倍増して2,000件を超えています。その4分の1は2020年から2022年の間に起きたものです。

Global trends in climate change litigation: 2022 snapshot

温暖化ガスを大量に排出して豊かになった人々。
温暖化ガスの排出量は少ないのに、温暖化によって生活基盤すら失ってしまう人々。

誰がどこまで責任を負わなければならないのか。負わなくてもいいのか。

こうした気候変動訴訟について、さまざまな論点があろうかと思いますが、時代が社会に変化を求めているのは確実ではないでしょうか。来月エジプトで開催されるCOP27で世界の代表者たちがどんな合意に達するのか、興味深いところです。

さて、COP27に合わせて、日経のシンポジウムが開催されます。

COP27特別シンポジウム 
「決意から実行へ 脱炭素社会の実現に向けた日本企業の取り組み」

11月14日(月)20:00~21:30

詳しくはこちらをご覧ください。