干ばつと洪水に揺さぶられるカリフォルニア 水資源計画2028

アメリカ・カリフォルニア州は大部分が地中海性気候に属しています。乾燥した暖かい夏と、雨の多い温暖な冬が特徴です。地中海性気候と聞くととても穏やかで過ごしやすそうなイメージがありますが、最近のカリフォルニアでは厳しい干ばつが起こって山火事に繋がったかと思えば逆に激しい洪水が起こったりするので、極端な二つの試練に同時に立ち向かっていかなければなりません。こうした気候の変動がある中、約4,000万人の人口を抱え、農業も盛んなカリフォルニア州では水資源の管理が大きな課題になっています。

カリフォルニア州では、農業のために地下水を汲み上げすぎて地盤沈下が進行しています。例えば、農業が盛んなサンホアキン・バレー(San Joaquin Valley)では、1925年から1977年までになんと最大9メートルも地盤沈下してしまったところもあります。帯水層の水が汲み上げられて、まるで小さな穴からゆっくり空気が抜けていく風船のように地盤が徐々に下がっていったようです。米国地質調査所のサイトにちょっと目を疑う1枚の写真があります。

1925 年と 1977 年に米国レベルで地盤沈下が最大となった場所(米国地質調査所)

電柱の脇に立っているのは調査を行ったジョセフ・ポーランド博士。しかしこれ、AIで作ったフェイク画像か?と思ってしまうほど強烈な写真ですよね。

こうした反省を踏まえ、州はいま「水をただ捨てる」のではなく「未来のために蓄える」という大きな方針転換を図っています。

その流れを強調しているのが、先月ニューサム州知事が発表した「カリフォルニア州水資源計画2028」です。

Governor Newsom launches most ambitious water plan in California history(ニューサム知事、カリフォルニア州史上最も野心的な水資源計画を発表)(ギャビン・ニューサム知事、2026年2月25日)

この計画では、気候変動で失われる水を補うため、2040年までに900万エーカー・フィート(約111億立方メートル)の新たな供給目標を掲げました。これは、カリフォルニアにある巨大なシャスタ貯水池2つ分に相当し、なんと1,800万世帯分もの年間使用量をカバーできる膨大な量です。

では、具体的にどうやってそれほどの水を確保するのでしょうか。 鍵を握るのは地下の帯水層への還流です。

最近注目されているのが、都市を巨大なスポンジに見立てる「スポンジシティ(雨水を吸収する都市)」という考え方です。かつて技術者たちは、雨を「邪魔者」として下水路で海へ流してきましたが、いまは逆に、雨水を地下の帯水層に逃がして蓄えようとしています。

例えば、ロサンゼルスには「トゥハンガ・スプレッディング・グラウンド」(Tujunga Spreading Grounds) という施設があります。これは、約0.6平方キロメートルの広大な敷地に雨水を導き、地下に浸透させて貯めておく施設です。こちらの画像を見ると、イメージがつかめます。

Tujunga Spreading Grounds Enhancement Project

さらに街中では、アスファルトの代わりに細かい穴の空いた透水性舗装を広げ、雨が地面に吸い込まれる仕組みを作っています。

これらの取り組みは、すでに驚くべき成果を上げています。2022年後半から2023年初めにかけてのわずか数ヶ月間で、約500億リットルの雨水を回収することに成功しました。これは14万世帯の1年分の需要を満たす量です。

この計画では最新技術を駆使して水の供給と利用状況を正確に把握して地域ごとの水供給の目標を設定。そして前述したような雨水を有効に蓄えるなど自然を利用した解決策を実施していくことに重点が置かれています。

カリフォルニアの挑戦から学べることがたくさんありそうですね。

さて、日本公認会計士協会の主催で生物多様性と情報開示に関するオンラインセミナーが開催されるのでご案内します。

名称: JICPA自然資本セミナー第2弾「生物多様性と情報開示~持続的価値創造の視点からの自然資本開示(実務と課題)」
日時: 2026年3月13日(金)15:00~16:30 
会場: 日本公認会計士協会(千代田区)/オンライン 
主催: 日本公認会計士協会
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

【1.自然資本関連の情報開示に係るフレームワーク】
「企業経営に関わる方々が知っておくべき自然関連財務情報開示の要点」
原口 真 氏(MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 サステナビリティ推進部 フェロー/TNFDタスクフォースメンバー)

「ISSBにおける自然資本開示の検討状況」
森 洋一(日本公認会計士協会 テクニカルディレクター/IFRS財団Integrated Reporting and Connectivity Council メンバー)

【2.企業事例とパネルディスカッション】
「自然資本・生物多様性に関するビジネス上のリスク及び機会」
「気候変動と自然資本の統合的マネジメント・開示」
「TNFD開示からISSB・SSBJ開示への展開アプローチと課題」

パネリスト:
・飯塚 優子 氏(住友林業株式会社 執行役員 コーポレート本部副本部長 サステナビリティ推進統括)
・原口 真 氏(MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社 サステナビリティ推進部 フェロー/TNFDタスクフォースメンバー)
・矢野 節子 氏(アセットマネジメントOne株式会社 運用本部 リサーチ・エンゲージメント部 ESGアナリスト)
モデレーター:
森 洋一(日本公認会計士協会 テクニカルディレクター/IFRS財団Integrated Reporting and Connectivity Council メンバー)

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