時々「まったく、踏んだり蹴ったりだなぁ」と思うことがある方には覚えやすいかもしれません。そんな状況を英語でダブルワミー(double whammy)と言うそうです。調べてみたら、whammyには”災難”とか”縁起の悪いもの”という意味があるんですね。
しかしダブルワミーどころか、「南極では今、”トリプル”ワミーが起こっているぞ」という記事を見かけました。「踏んだり蹴ったりつねったり」という感じでしょうか。とにかく、悪いことが三つ重なっている「三重苦」ということですね。
Drivers of Antarctica’s dramatic sea ice decline could accelerate global warming: new research(南極の海氷が劇的に減少する要因が、地球温暖化を加速させるかもしれない:新たな研究)(2026年5月11日、ニューサウスウェールズ大学)
北極の海氷については、温暖化が進むのに従って薄くなったり縮小したりしてきました。それに比べると南極の海氷は比較的安定していたのですが、2015年以降になって突然、急速に縮小が始まりました。なぜか。アディチャ・ナラヤナン博士らの研究チームが調べたところ、三つの複合的要因が浮かび上がってきました。
1. 強い風:温室効果ガスとオゾンホールの影響で南極周辺の風が強くなった。(2015年に観測史上最大規模のエルニーニョ現象が発生し、強い風が発生した)
2. 海の攪拌:この強い風によって、水深200m以下の深海にある温かくて塩分濃度の高い深層水が海面へと引き上げられた。
3. 悪循環:海水温が高くなったために海氷が回復できない状態に陥っている。
極地では、冷たくて塩分濃度の低い水が、比較的温かく塩分濃度の高い水の上に重なっていて、深海の熱を閉じ込めるような形になっています。しかしその構造を崩して、これまでに深層で蓄積されてきた熱が海面に噴出している状況が生まれています。
南極の氷の面積は1,400万平方km近いそうです。日本の37倍の大きさですから、これはもう超巨大な冷却装置ですよね。これまで気候変動の進行を遅らせる効果を持っていた南極が、今、逆回転を始めていて”温暖化の増幅装置になりつつあるかもしれない”ともナラヤナン博士は語っています。
この傾向が一時的なものなのか、新常態の始まりなのか。そこはまだ断言できないそうですが、ちょっとしたきっかけで大きな変動が起こるところまで来ているのだな、ということはよく分かりました…。
さて、日本学術会議の主催で環境工学に関する公開シンポジウムが開催されるのでご案内します。
名称: 公開シンポジウム「第38回環境工学連合講演会」
日時: 2026年5月26日(火)9:30~17:30
会場: 日本学術会議講堂/オンライン
主催: 日本学術会議環境学委員会環境科学・環境工学分科会
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
開会挨拶:北川 尚美(日本学術会議第三部副部長/東北大学大学院工学研究科研究科長補佐・教授)
【環境評価と技術開発】
座長:奥田 知明(公益社団法人日本化学会/慶應義塾大学理工学部教授)
「持続可能な未来を支える静電気科学」
杤久保 文嘉(一般社団法人静電気学会/東京都立大学システムデザイン研究科教授)
など4講演
【産業と資源循環】
座長:松山 智哉(一般社団法人日本機械学会/三機工業株式会社環境システム事業部環境
エンジニアリング部部長)
「炭素循環と地方創生を両立するバイオマス利用技術」
義家 亮(一般社団法人日本機械学会/岐阜大学工学部教授)
など4講演
【特別講演】
座長:小瀬 博之(公益社団法人空気調和・衛生工学会/東洋大学総合情報学部総合情報学科教授)
「建築環境におけるリジェネラティブデザインを目指して~サステナビリティのその先へ~」
水出 喜太郎(公益社団法人空気調和・衛生工学会/株式会社日建設計常務執行役員 エンジニアリング部門統括)
【陸と海の環境再生(14:10~15:50)】
座長:中井 智司(公益社団法人化学工学会/広島大学大学院先進理工系科学研究科教授)
「漁業者による持続的な海洋ごみ回収活動に関する環境経済モデル~対馬市の事例」
中山 裕文(一般社団法人廃棄物資源循環学会/九州大学工学研究院教授)
など5講演
【自然共生と社会(16:00~17:20)】
座長:小澤 一喜(公益社団法人地盤工学会/鹿島建設株式会社土木管理本部土木工務部環境緑化造成グループ担当部長)
「ネイチャーポジティブ社会実現に向けたネイチャーテックの開発と地域連携」
保高 徹生(公益社団法人地盤工学会/国立研究開発法人産業技術総合研究所ネイチャーポジティブ技術実装研究センター副研究センター長)
など4講演
【閉会】
第38回環境工学連合講演会の総括
森口 祐一(日本学術会議第三部会員/東京大学名誉教授/国立研究開発法人国立環境研究所名誉研究員)
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