欧州連合理事会は、
・国連気候変動枠組条約第31回締約国会議(COP31)
[11月9日~20日。トルコ共和国・アンタルヤ]
・生物多様性条約第17回締約国会議(COP17)
[10月19日~30日。アルメニア共和国・エレバン]
に向けて、交渉の基本方針を決めました。
Multilateralism: Council sets EU position ahead of climate change and biodiversity
summits(多国間主義:気候変動および生物多様性に関するサミットに向け、理事会がEUの立場を決定)(2026年10月12日、欧州連合理事会・欧州理事会)
多国間主義に基づき科学的根拠に沿った迅速な行動を求め、これまでの公約を具体的な行動へ移すことを目指しています。
それぞれの会議に向けた主な方針は以下の通りです。
【気候変動(COP31)に向けた主な交渉方針】
<1.5℃目標への回帰と「超過・ピーク・低下」経路の推進>
パリ協定の1.5℃目標を一時的に超過する可能性が高いと認識しつつも、さらなる気温上昇を極力防ぎ、今世紀末までに1.5℃未満へ戻すための最善の選択肢として「超過・ピーク・低下」経路を追求することを強調しています。
<パリ協定の実施強化とNDCの確実な履行>
COP31をパリ協定の実施における大きな転換点と位置付け、自国が決定する貢献(NDC)の効果的な実施と、未提出となっているNDCの早急な提出を求めます。
<第1回グローバル・ストックテイク(GST-1)の成果履行とエネルギー移行>
クリーン電化を含むクリーンエネルギー移行の加速や、化石燃料からの移行など、GST-1の成果を共同で達成することを目指します。また、緩和努力を議論し、第2回グローバル・ストックテイク(GST-2)への道筋をつける適切な交渉の場をCOP31で確保することを求めています。
<気候レジリエンスと多国間主義の重視>
安全で持続可能かつ繁栄した社会・経済の前提条件として気候レジリエンスを位置づけ、「緩和と適応は相互に補完的で不可欠である」としています。また、国連の枠組みを中心とし、EU全加盟国の参加と連帯を重視する姿勢を再確認しています。
【生物多様性(COP17)に向けた主な交渉方針】
<世界生物多様性枠組の目標達成の加速>
2022年のCOP15で合意された「2030年までに陸と海の少なくとも30%を保全する」といった目標水準を維持し、確かな科学的根拠に基づいてあらゆる政策や部門横断で生物多様性を主流化させることで、行動を加速させる方針です。
<資金調達の拡大と革新的アプローチの活用>
公的資金および民間資金の拡大を求め、特に高潔性の高いネイチャークレジット(high-integrity nature credits)をはじめとする革新的な手法の模索を推進します。
温暖化の厳しさを社会全体で受け止めた欧州の国々。これからの会議に臨む姿勢も、より厳しくなりそうです。
さて、9月9日のニュースレターで紹介した、海の温暖化に関する公開シンポジウムの配信映像と資料が公開されていますので、ご案内します。
こちらをご覧ください。
名 称: 気候変動予測先端研究プログラム令和8年度公開シンポジウム 海から見る地球温暖化 ~変わりゆく海が教えてくれる地球の今~
開催日: 2026年9月15日
主 催: 文部科学省 気候変動予測先端研究プログラム
主な内容:
○ 開会挨拶
西條 正明
文部科学省 研究開発局 局長
「最近の海の変化」
川上 雄真
気象業務支援センター/気象研究所 全球大気海洋研究部 研究官
「植物プランクトンの適応を考慮した将来予測」
増田 良帆
海洋研究開発機構(JAMSTEC) 地球環境研究部門 環境変動予測研究センター 特任研究員
「海水温上昇が日本沿岸の海洋生態系や社会に及ぼす影響」
藤井 賢彦
東京大学 大気海洋研究所 大槌沿岸センター長・教授
○ トークセッション
【閉会挨拶】
河宮 未知生
気候変動予測先端研究プログラム広報委員長・領域課題2代表
海洋研究開発機構(JAMSTEC) 調査役 / 東北大学 教授
