最悪のシナリオは削除かも

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が、今後発表される第7次評価報告書(AR7)において、これまで2014年のAR5と2023年のAR6において記載してきた最悪のシナリオ「SSP5-8.5」を、「非現実的になってきた」として削除するかもしれないということが話題になっています。

今年4月に発表された新たな論文が引き金になったようです。

The Scenario Model Intercomparison Project for CMIP7 (CMIP7のためのシナリオモデル相互比較プロジェクト)(2026年4月7日、欧州地球科学連合)

「SSP5-8.5」はShared Socio-economic Pathways(共通社会経済経路)という、今後100年間に起こる世界の変容を5通りで示すシナリオのうちの5番目を示すもので、「化石燃料依存型の発展の下で気候政策を導入しない最大排出量シナリオ」です。8.5という数字は2100年ごろのおよその放射強制力(数値が高いほど地表を温める効果が強い)を表しています。

「過去にこのシナリオが提示されて以降、世界で温暖化対策が進められた結果である」とのポジティブな受け止めがなされる一方で、気候変動に対して懐疑的な考えから「科学者たちが過ちを認めたんだ」と解釈する人々もいます。

IPCCのサイトでは「いや、IPCCの評価はまだ決まってませんからね。確かにこれは考慮に入れる論文ではありますが、個々の論文にコメントはしませんよ」としています。

IPCC News Comment:(IPCCニュースコメント)(2026年5月20日、IPCC)

ポイントだけ抜き出すとこんな感じです。

・最近のメディアやソーシャルメディアの報道に関して、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、シナリオモデル相互比較プロジェクトが作成した気候シナリオに関する論文が、いくつかの事例で”誤って”IPCCのものとして帰属されている。

・本論文は、IPCCではなく、世界気候研究計画(WCRP)の調整の下、国際研究コミュニティによって作成された広範な科学文献群に属するものである。

・IPCCは独自の調査研究、モデル運用、測定は行っていない。IPCCの役割は、気候変動に関連する査読済みの科学的文献を評価することであり、現在、年間約5万件の論文や研究が対象となっている。当該論文は、IPCCの次回の評価の対象範囲内である。

・CMIP7シナリオなど、過去10年間の動向を反映したより新しい文献は、第7次評価報告書(AR7)で検討される予定である。

・IPCCは、評価プロセスの結果を先取りしてしまうリスクを避けるため、個々の論文や出版物についてコメントすることはない。

何はともあれ、最悪のシナリオがなくなったらいいですよね。気候変動への対策、無駄ではなさそうですね。

さて、衛星地球観測コンソーシアムの主催で衛生データとネイチャーポジティブについてのイベントが開催されるのでご案内します。

名称: 衛生地球観測コンソーシアム ネイチャーポジティブシリーズ第1弾「衛星データ×自然資本可視化テクノロジーが切り拓く、ネイチャーポジティブ事業の実装」
日時: 2026年6月12日(金)13:00~15:00 
会場: X-NIHONBASHI Tower(日本橋三井タワー7階)
主催: CONSEO(衛星地球観測コンソーシアム)
参加費: 無料 

主な内容:下記HPより抜粋 

【第一部:Keynote】サイエンスが定義する「自然の価値」
テーマ:「生物多様性クレジット・オフセットを成功させるための要件」
アッテ・モイラネン博士(株式会社シンク・ネイチャー最高科学責任者)

【第二部:Tech & Implementation】衛星運用×グランドトルースによる「社会実装」
・株式会社シンク・ネイチャー 取り組み紹介
・株式会社IHI 取り組み紹介
・パネルディスカッション・質疑応答
テーマ:「広域モニタリングを『事業のインフラ』へ変える統合分析」

内容 :衛星データとグランドトルースをマクロ生態学モデルで統合し、高解像度かつ高精度に自然資本を可視化する手法を紹介。シンク・ネイチャーの具体的なビジネス実装事例を解説。

登壇者:
久保田 康裕(株式会社シンク・ネイチャー 代表取締役CEO)
五十里 翔吾 (株式会社シンク・ネイチャー 執行役員)
山内 淑久(株式会社IHI 航空・宇宙・防衛事業領域 宇宙システム事業推進部 事業開発グループ 地球環境計測チーム長)
モデレーター:渡邊 康宏(JAXA第一宇宙技術部門地球観測プログラム戦略室)

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