車を運転する時、少しでもガソリンを節約するために、ちょっとした直線やゆるい下り坂などではアクセルを踏まずに、いわゆる惰性走行をすることがよくあります。瞬間燃費の表示が30km/Lなんて表示されて嬉しくなります。
明治時代などに物理学の「外から力が加わらない限り、動いているものが動き続けようとする性質、あるいは静止しているものがそのまま静止し続けようとする性質」が導入された当初は「惰性」という訳語が使われました。
この「惰性」は、輸入された単語「inertia(イナーシア)」に対してかなり忠実な訳語でした。語源をたどるとラテン語のin-(否定)+ars/artis(技術、労働)からなるinertiaで、「技術がない、自ら働かない、怠け者の」という意味がありました。
16世紀に天文学者ケプラーが「物体が自ら動こうとしない性質」を表すのにinertiaを使ったのが最初です。その後ニュートンが運動の法則をまとめた時に、静止または等速直線運動を続ける性質をこのように呼びました。
「やる気がないからすぐには動かない」し、「動き始めたら止まるのもめんどくさがる」性質。惰性。「惰性で仕事するな」とか「惰性で付き合うな」とか、いいイメージはありません。そんな否定的な色を消すためなのかどうか分かりませんが、のちに物理学では「慣性」に置き換えられました。
「海洋の熱慣性(ocean thermal inertia)」という言葉があります。海水は大気に比べて熱容量が1,000倍あるとも言われ、温まりにくく冷めにくいため、大気の温度変化に対する海水の温度変化の応答が遅れるという性質です。この性質を気候変動モデルに初めて組み込んで解析に応用したのが真鍋淑郎博士で、こうした気候変動の研究における功績によって2021年にノーベル物理学賞を受賞しました。
この「海洋の熱慣性」、言い換えれば熱循環における「海が持つ巨大な怠け者的性質」があるからこそ、地球の大気温の変化は穏やかになり、生物が住みやすい環境を作っています。なので私たちにとっては非常にありがたい性質なのですが、温暖化が進む中、この同じ性質が、私たちの未来に重くのしかかろうとしています。
さて、自然エネルギー財団の主催でGXを支える電力に関するシンポジウムが開催されるのでご案内します。
名称: シンポジウム「GXを支える電力供給基盤をどう作るか
―DC・電化などの電力需要に自然エネルギーが応える― 」
日時: 2026年10月28日(水)15:30~17:30
会場: 虎ノ門ヒルズフォーラム(港区)/オンライン
主催: 公益財団法人 自然エネルギー財団
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
○ 開会挨拶
石田 雅也 自然エネルギー財団 研究局長
○ 基調講演 「2050エネルギービジョン、80%を再エネで供給」
小宮山 宏 プラチナ構想ネットワーク 会長 / 三菱総合研究所 理事長
○ 提言紹介 「自然エネルギーを最大限活用する連系線投資インセンティブ設計への示唆」
木村 誠一郎 自然エネルギー財団 主席研究員
○ パネルディスカッション 「増加する電力需要に自然エネルギーが応えるために」
・中島 達朗 ユーラスエナジーホールディングス エネルギーマネジメントユニット ESS事業部 需要開発グループ マネージャー
・濱崎 博 東京科学大学 エネルギー・情報卓越教育院 特定教授
・八巻 康一郎 東京電力パワーグリッド 技術統括室 副室長
・トーマス・コーベリエル チャルマース工科大学 教授 / 自然エネルギー財団 シニアポリシーアドバイザー
※調整中:欧州TSO
[モデレーター]木村 誠一郎 自然エネルギー財団
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