メタンの排出抑制について

2021年10月15日にお知らせしたアメリカのバイデン大統領肝いりの「グローバル・メタン・プレッジ」。COP26では、思惑通りの成果を得たようです。

確かに、今では1.1℃の気温上昇の半分はメタンが原因だと言う説もあり、化石燃料採掘や畜産、埋め立て地、それに凍土や湿地などからのメタン排出を二酸化炭素同様ウオッチしないとならないのでしょう。

そのメタン。これまで余り取り上げられなかった理由の一つが大気中での反応が良く分かっていないことです。メタンは酸化で失われるのですが、それを主に介在するのがヒドロキシ・ラジカル(・OH)です。他に、数パーセントの寄与率といわれる塩素ラジカル(・Cl)や励起酸素原子があります。

海塩飛沫に鉄を加えることでヒドロキシ・ラジカルと塩素ラジカルの生成を促し、結果、メタンが消滅する反応を促進できるという論文の解説を御紹介します。

科学誌の解説:
https://www.science.org/content/article/slow-global-warming-some-researchers-want-pull-methane-out-air

COP26に即した時事的解説:
https://news.mongabay.com/2021/11/as-carbon-emissions-rise-unabated-scientists-eye-a-methane-removal-fix/

このアイデアは、海水を噴き上げてつくった微小な海塩エアロゾルで雲を増白するというジオエンジニアリングを思い起こさせます。

二酸化炭素とは濃度が桁違いに低いメタンを相手に、資金不足にあえぎながら研究を進めているのだそうです。「グローバル・メタン・プレッジ」の順調な滑り出しが追い風になるのかも知れません。

解説では、他に、酸化チタンを塗料に使ってメタンと反応させるアイデアも紹介しています。また、メタンのスポット発生源に注目して、たとえば畜舎、炭鉱、埋め立て地などを、メタン分解菌を含む土で覆うといった提案も紹介しています。メタンの実質ゼロは、技術面でまだまだ模索の段階です。