環境省 脱炭素経営ガイドの改訂版

書店で「平凡なあなたでも、今の10倍速く読める!」とか「どんな本でも大量に読める速読法」などといった本を見かけると、そんな、”秒で億を稼ぐ”みたいな話…といぶかりつつも、つい手にとってみたくなります。次から次へと出てくる資料をパッと見てサッと覚える。そんなことができたらいいですよね。

ひょっとしたら大昔には私たちにもそういう力があったのかもしれません。京都大学霊長類研究所の研究で、1から9の数字だけを扱った実験ですが、画面に現れて1秒以下で消える数字とそれが表示された位置を記憶する能力を測ったところ、人間の成人と比較してチンパンジーの方が圧倒的に優れていたそうです。

アユムという、最も熟達したチンパンジーは0.7秒で9個の数字を正確に記憶しました。別の実験では7つの数字を使って、最短表示時間は0.21秒。これはもはやサッケード(急速性眼球運動)すら起きない短さであるため、目を動かさずに数字の種類と位置を認識して記憶するレベルですが、これでもアユムはらくらく正解しました。

この実験は文章情報ではなく、長期記憶の話でもありませんが、ひょっとしたら人類にも昔はこんな能力があったのかもしれないな、などと考えるのも面白いですね。

さて、また資料が出てきました。4月26日に環境省が脱炭素経営関連の4つのガイドの改訂版を発表しました。

環境省:脱炭素経営の促進に関する各種ガイドの策定について

この4つのガイドは、だいたい以下のような内容です。

[1] シナリオ分析の実践
気候変動にはリスクもあればチャンスもある。どんな展開がありうるのか。その場合、どう対応するべきか。何を対象に、どこに着目して、どんな時間軸で分析するか。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言にそった、情報開示へのステップ。

[2] 温室効果ガスの排出削減計画を策定
中長期的な成長戦略として、排出削減計画を作る。どんな視点で、何をするか。国内外企業の事例。

[3] 中小企業向けのハンドブック
中小企業が脱炭素に取り組むメリットを紹介。省エネ、再エネ活用の具体的事例。

[4] インターナルカーボンプライシング(ICP)
ICPを導入する際に検討すべきポイントと、その実施方法。

とても秒単位では読めない膨大な資料ですが、飛ばし読みでのぞいてみたら何か自分に関連する情報が見つかるかもしれませんね。

ところで、TCFDに賛同している企業の数では、日本は世界第1位だそうです。(2022年3月31日時点)

環境省:脱炭素経営に向けた取り組みの広がり