スリムにして「100点満点」

1月20日、日本の小型月着陸実証機(SLIM)が目標地点との誤差55メートルで月面に着陸し、世界初のピンポイント着陸に成功しました。それまでの月面着陸では数kmの誤差が当たり前だったので、全くすごい技術です。SLIMプロジェクトチームのマネージャーは「100点満点」の着陸だったと述べています。

この時の鍵になった技術の一つが、文字通りスリムな画像照合技術です。

例えば私たちが初めての場所に行く時、周囲の建物や施設を目印にすることが多いですよね。「左側にパン屋があって、右側に公園がある高層ビル」という具合です。

月面にはまだパン屋はないので、代わりに、床にこぼしたゴマのように月面にちらばる無数のクレーターを目印に使いました。

画像をそのまま認識する複雑な計算を行うのではなく、過去に撮影した月面画像からクレーターの位置情報を抽出してデータベース化しておき、飛行中に撮影した画像からも周囲のクレーターの位置情報を抽出して照合するようにしたため、少ない計算量で迅速かつ正確に照合することが可能になったそうです。

SLIMに搭載された計算機は、地上で使える機械の100分の1の性能しかないという制約があったので、なおさらこのような手法は重要だったようですね。

目的達成のために重要なことは何かを絞り込んで、余計な情報は削ぎ落とす。そうすることで素早い処理ができるようになる。なんだか、私たちの普段の仕事や生活にも活かせるような気がします。

脱炭素化に向けて何をすべきか。具体的な対応を考えるときにも、こんな視点から見てみるのもいいかもしれませんね。

サステナビリティに関する経営や政策がテーマのシンポジウムが開催されますので、ご案内します。

名称: サステナビリティシンポジウム2024
    ~サステナブル分野の経営と政策に求められる統合的評価とアクション~

日時: 2024年3月5日15:00~18:30 
会場: ベルサール東京日本橋(東京都中央区)/オンライン 
主催: 国立研究開発法人 国立環境研究所、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 
参加費: 無料 

主な内容: 下記HPより抜粋 

○ 開会挨拶
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 代表取締役社長 
吉原 昌利  氏

第1部:講演
【サステナブル分野の統合的評価の必要性と課題】

「グローバルな複合環境危機への対応 ―高まる現実的対応の必要性と問題構造の認識―(仮)」
国立環境研究所 資源循環社会システム研究室室長 博士(学術) 
田崎智宏 氏

「サステナブルな社会に向けたネクサスアプローチ ―地球人間システムの連環と複合課題の構造化―」
総合地球環境学研究所 副所長 谷口真人 氏

「講演内容調整中」
東京大学 未来ビジョン研究センター 教授
高村 ゆかり 氏

【サステナブル分野の統合的評価に向けた取組と課題】

「環境課題の相互関連性・トレードオフの認識および統合的アプローチ」
キリンホールディングス株式会社 CSV戦略部 シニアアドバイザー 
藤原啓一郎 氏

「サステナブル商品開発方針とレギュラトリーサイエンス ―統合評価・法制度・社会変化―」
花王株式会社 研究開発部門研究主幹/研究戦略・企画部部長(レギュラトリーサイエンス担当)
藤井健吉 氏

第2部:パネルディスカッション
【サステナブル分野の統合的評価の現状と今後のアクションに向けた動き、期待されること】

情報提供「『サステナブル分野の統合的評価に関する勉強会』とりまとめ」紹介
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 サステナビリティコンサルティング第2部 
 主任コンサルタント  水上碧 氏

パネルディスカッション
パネリスト:
(1) 国立環境研究所 理事 森口祐一 氏
(2) 総合地球環境学研究所 副所長 谷口真人 氏
(3) 東京大学 未来ビジョン研究センター 教授 高村ゆかり 氏
(4) Future Earth 日本ハブ事務局長(長崎大学大学院 教授) 春日文子 氏
(5) キリンホールディングス株式会社 CSV戦略部 シニアアドバイザー 藤原啓一郎 氏
(6) 花王株式会社 研究開発部門研究主幹/研究戦略・企画部部長(レギュラトリーサイエンス担当)藤井健吉 氏
(7) 日本生活協同組合連合会 サステナビリティ推進グループ グループマネージャー 新良貴泰夫 氏
(8) みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 サステナビリティコンサルティング第2部 次長 高木重定 氏

モデレーター:
国立環境研究所 資源循環社会システム研究室長 田崎智宏 氏

○ 閉会挨拶
国立環境研究所 理事 森口祐一 氏

詳しくはこちらをご覧ください。