こんなリストを作ってみました。共通点は何でしょう?
・奈良崎牧場(山形県上山市)かみのやまワインビーフ
・のば牧場(広島県三次市)三次ワインビーフ
・長谷川農場(栃木県足利市)足利マール牛
・小林牧場(山梨県甲斐市)甲州ワインビーフ
・池田の森牧場(北海道十勝池田町)十勝ワインビーフ
ブランド名を見てピンと来るかも知れませんが、これらの牧場では、ワインの製造に伴って出るブドウの搾りかすを発酵させて飼料に混ぜて、肉牛に与えています。
ブドウの搾りかすを使うメリットとして、「ポリフェノールが豊富で、牛が健康に育つ」「肉が引き締まり、香りが豊かになり、柔らかくなる」「肉の酸化が進みにくい」などが挙げられています。
お肉の質が良くなるだけでなく、ワインの製造過程で出される廃棄物(搾りかす)を利用するのは循環型経済につながりますし、牛の消化管内で発生するメタンガスの排出量を低下させる効果があることも知られていますので、温暖化の抑制にも一役買っていますね。
ところで、乳牛については、ブドウの搾りかすの混入量を20%にした飼料を与えるとメタン排出の削減効果はあるものの、肝心のミルクの生産量が低下してしまったという研究が過去にありました。
そんな中、カリフォルニア大学の研究者らがカリフォルニアの乳牛について、ブドウの搾りかすの導入効果をLCA(ライフサイクルアセスメント)を使って検証しました。つまり、個体レベルのメタン抑制効果を見るのではなく、飼料生産から糞尿管理までシステム全体の環境負荷(カーボンフットプリント、水の消費量、水質汚染、土地利用、土壌汚染など)を包括的に検証したわけです。
Carbon footprint and environmental impacts of feeding grape pomace to dairy cows in California (カリフォルニア州における乳牛へのブドウ搾りかす給餌によるカーボンフットプリントと環境への影響) (Journal of Dairy Science, 2026年6月8日)
搾りかすの飼料への混入率が15%のときには、メタンの排出量が約18%減少、水の消費量は約32%削減、土地利用は約24%削減できたなど、水質・土壌・大気のどの点においても悪影響を抑えられることが分かりました。また、15%の混入時には、ミルクの生産量を損なうことはなかったことが分かりました。
こうした効果は場所によって変わるとは思いますが、システム全体でこんなに環境負荷を抑制できる事例があると分かったのはいいことですよね。ブドウの搾りかすを飼料に利用するメリットって、思っていた以上に大きいんだなぁと気付かされました。それにしても、ワインと牛。テーブルの上ではよく見かけますが、こんな繋がりもあるとは。ちょっと面白いですね。
さて、日立東大ラボ、日立 ICL 共同センターの主催で生物多様性とサステナビリティに関す国際シンポジウムが開催されるのでご案内します。
名称: 日立東大ラボ 10周年記念国際シンポジウム
「自然および生物多様性によるサステナビリティへの価値創造」
日時: 2026年7月6日(月)15:00~17:40
会場: 東京大学/オンライン
主催: 日立東大ラボ、日立 ICL 共同センター
参加費: 無料
主な内容:下記HPより抜粋
【開会挨拶】
・小宮山涼一 東京大学大学院工学系研究科レジリエンス工学センター長、大学院工学系研究科教授、日立東大ラボ長
・額賀信尾 日立製作所研究開発グループ Sustainability Innovation R&D シニアプロジェクトマネージャー、日立東大ラボ長
【本シンポジウムの狙い】
小宮山涼一 東京大学大学院工学系研究科レジリエンス工学センター長、大学院工学系研究科教授、日立東大ラボ長
【基調講演】
”Accurately valuing ecosystems to benefit business and society”(社会とビジネスに
貢献する精密評価エコシステム)
Will Pearse Associate Professor in Evolutionary Ecology, Department of Life
Sciences (Silwood Park) – Faculty of Natural Sciences, Imperial College London
【トピック講演】
「社会とビジネスに貢献する生物種の精密評価」
Lucy Somekh, Imperial College London
「陸海一体の栄養管理ソリューションによるブルーカーボン生態系機能の高度化」
TeoSzeKai Kenneth, 日立製作所
「中長期エネルギーシナリオにおける炭素吸収の重要性と自然活用への期待」
吉本尚起、日立東大ラボ
【パネルディスカッション】
「自然および生物多様性によるサステナビリティへの価値創造」
モデレーター:Tamayo Efrain(日立製作所)
ディスカッサント:
Will Pearse(Imperial College London)
小宮山涼一(東京大学)
永田綾(環境省)
【閉会挨拶】
津田敦 東京大学理事・副学長
杉村和之 日立製作所研究開発グループ Sustainability Innovation R&D Managing Director
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