ICJの勧告的意見を支持する決議において、国連日本政府代表部は賛成票を投じましたが、「賛成はしたけど、ちょっと言っておきたいこと」を”投票理由説明”(EOV, Explanation of Vote)の中で表明しました。
国際連合日本政府代表部: 「気候変動に係る国家の義務に関する国際司法裁判所勧告的意見」
に関する国連総会決議採択に際する前田書記官による投票理由説明(EOV)(2026年6月4日)
ちょっと難しくて長いのですが、趣旨をきちんと理解するために丸ごと日本語に訳してみます。読みやすくするために、一部の段落を分けたり、勝手に作った見出しを[ ]内に付け足したりしました。大筋としては「決議案には賛成ですが、これまで皆が苦労して積み上げてきた合意やICJの意見に正確に基づいていないと思う部分があるので、そこは指摘しておきたい」ということです。
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議長、ありがとうございます。
[敬意] 日本は、気候変動という喫緊の脅威への対応に尽力されているバヌアツおよびコアグループに対し、最大限の敬意を表します。日本は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)およびパリ協定に基づく地球規模の気候変動対策の実施に対する揺るぎないコミットメントを改めて表明します。
[賛成の理由] 国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見は、国際法の規則と原則を明確にし、法の支配の強化に貢献するものです。日本はICJの活動を極めて重視しており、気候変動に関する同裁判所の勧告的意見に関する手続きに積極的に参加してきました。そのため、日本はこの決議案に賛成票を投じました。
[法的拘束力は無い] 強調されなければならないのは、ICJの勧告的意見はそれ自体に法的拘束力を持つものではない、ということです。したがって私たちは、この勧告的意見に関連する各国の慣行をさらに検討する必要性を強調します。
[懸念:合意に基づく気候変動対策の効果を損なう可能性] 日本は、懸念を持って指摘します。この決議案には、裁判所の意見に含まれていない要素が多数含まれていること、そして、重要な側面がいくつか見落とされていることを。同時に、この決議案はCOPの決定事項を正確に引用していません。これは、合意に基づいて実施される気候変動対策の効果を損なう可能性を孕んでいます。
[意見表明] 議長、日本は特に以下の点について意見を表明したいと思います。
【第一:各国の状況の違いを鑑みる】 第一に、前文第8節(a)(iv)および主文第2節(a)のCBDR(共通だが差異のある責任)に関する部分について、決議が勧告的意見の見解を全面的に反映していません。これを遺憾に思います。
具体的には、勧告的意見の第150節および第226節を適切に反映させるため、「共通だが差異のある責任及びそれぞれの能力」という語句の後に「各国の状況の違いに鑑み」という語句を追加すべきです。
[先進国と途上国の位置付け] 第150節において裁判所は、CBDR-RC(共通だが差異のある責任及びそれぞれの能力)の原則を解釈するにあたり、その見解を表明しました。「UNFCCCの締約以降、一部の途上国が世界の温室効果ガス排出に大きな割合を占めるとともに、実効性あるの緩和策・適応策に取り組む能力を持つようになった。また、地球規模の気候変動への対応に貢献できる十分な資源と技術的能力を有するその他の国々も存在する」と。 この節は、「CBDR-RCの原則は、”先進国”と”途上国”という国家の位置付けが固定的だと言っているわけではない」ということを明らかにしました。
[ニュアンスの反映] 第226節において裁判所は、「パリ協定に追加された文言は‘原則の核心を変える’ものではない。”先進国”あるいは”途上国”という国家の位置付けは固定的なものではないと認識することによって‘ニュアンスを加える’ものである」との見解を示しました。このニュアンスは決議に反映されるべきでした。
【第二:グローバル・ストックテイクとの整合性】 第二に、主文第4節について。バヌアツが冒頭のプレゼンテーションで述べたように、この節は第1回グローバル・ストックテイク(GST)で合意された文言に基づいています。しかしながら、この決議がGST決定文書第28節を正確に引用することなく拙速に採択されたことを遺憾に思います。一部の文言は、決議案の改訂版2から突然追加されたものです。この段落については、GSTとの技術的な整合性が必要でした。
[GSTと異なる解釈は受け入れない] 例えば、GST決定文書第28節は、締約国に対し、2030年までに世界の再生可能エネルギー容量を3倍にすること、世界のエネルギー効率改善の年間平均率を2倍にすることなどを含め、各国が自主的に決定する方法で、地球規模の取り組みに貢献するよう求めています。日本は、この条項の包括的な修正案については棄権しましたが、GST決定文書第28節と異なる解釈は一切受け入れないことを明確にします。
【第三:国家の継続性の法的確実性】 第三に、海面上昇に直面した際の国家の継続性の確認に関する主文第7節について、日本は、十分な国家慣行も法的確信も存在しないと考えています。法的確実性を確保するための国家間協議をさらに進める用意があります。
(*法的確信:その行動が法的な義務や権利に基づくものであるという認識。)
【第四:加盟国の意見の集約】 第四に、主文第10節について。事務総長の報告書は加盟国からの意見をまとめたものであるべきだと考えています。日本は深く懸念しています。UNFCCCおよびパリ協定に基づく合意形成型の気候変動交渉、そして長年にわたる困難な交渉を経て確立された、国別決定協力枠組みを含む既存の気候関連法制度の基盤が、本件によって損なわれる可能性があることを。
【最後:「清潔で健康で持続可能な環境への権利」の定義】 最後に、前文第3節に関して。清潔で健康で持続可能な環境への権利は、その範囲が極めて広範になる可能性があり、いまだ明確に定義されていません。裁判所は、この権利は他の人権を享受するための前提条件であるとしながらも、国際法の下で確立された人権としては認めていません。
[結論]
結論として、日本は、法の支配とUNFCCCおよびパリ協定に基づく地球規模の気候変動対策の実施に対する揺るぎないコミットメントを表明します。
ありがとうございました。
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な、長くて難しい。とてもサクッと読めるものではないですね…。で、ここから何を読み取るか。これもまた人によって様々でしょうが、いかがでしょうか。
何はともあれ、こういうものをじっくり読んでみると、異なる背景を持つ世界の国々が交渉し意見を交わし合意を目指すというのは、本当に骨の折れる作業なんだな、と改めて感じますね。
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主な内容:下記HPより抜粋
「次の成長を支える脱炭素×資源循環 ー実践企業に学ぶ対応のヒントー」
富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 サステナビリティ推進部
「再生複合機紹介」
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「横浜市のサーキュラーエコノミーの取組」
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