「二酸化炭素とエアロゾルの連関」について

ノーベル物理学賞を真鍋淑郎さんが受賞されたことは、久方ぶりの明るいニュースでした。私たちの「2050年までに実質ゼロ」の根拠は、真鍋さんの功績があってこそなのです。しかし他方で、地球システムのモデル化はまだまだ発展途上なのも事実です。

今回、黒色炭素エアロゾル(いわゆる煤)の温暖化への寄与が多くのモデルで過小評価されているという論文が出ました。

気温の上昇とそれに伴う気候・気象の変化を正しく把握しなくては「実質ゼロ」の土台が崩れてしまいます。パリ協定の1.5℃目標。その根拠となるモデルも、黒色炭素の効果を過小評価しているとのことです。パリ協定ではエアロゾルの影響を取り込んでいないのです。

黒色炭素だけではありません。様々なエアロゾルの気候・気象に対する影響をモデルに取り込むのは、今も不十分です。黒色炭素以外も含め、エアロゾルが気候変動にどのような係わりがあるか、二酸化炭素の削減に伴ったエアロゾル排出の変化がどのようであるか、真鍋さんの大気と海洋の結合になぞらえれば「二酸化炭素とエアロゾルの連関」を解明することが求められます。それを目指しているとも思える報告を
御紹介します。

二酸化炭素の削減に伴ったエアロゾル排出の変化を国単位で調べています。