森林の二酸化炭素捕集について

「なお残る排出」をカバーし、さらに大気に蓄積された分(レガシー炭素legacy carbon)まで回収すると期待される森林。その期待を簡潔にまとめたビデオを紹介します。

森林には多様なメリットがあります。ですから、温暖化に対する「自然に基づいた解決策」の中でも特に歓迎されるのは理解できます。でも、そう申し上げた上での話ですが、問題があることも心得ておかなければなりません。その一例になる報告がでています。

大気中の二酸化炭素が増加すると樹木の生長が促進されます。二酸化炭素の「施肥効果」と呼ばれています。このために森林の炭素捕集量が高まると期待されているのです。ところが、確かに総一次生産は増したものの、森林生態系の呼吸も増えてしまっているというのです。

2000年から2018年の期間についてヨーロッパで調べた結果です。悪いことに、この間、熱波が頻発し山火事が起きるなどし、それによる総一次生産増加の抑制の方が呼吸量増加の抑制を上回ってしまったとのことです。

これは、森林の二酸化炭素捕集機能を単純に額面で受け取れないということを示します。ではどうするか? 一つの案は、せっかく生態系が固定した炭素をそのまま大気に戻してしまうのではなく、生物圏の循環から切り離してしまうのです。